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大相撲PRESSBACK NUMBER
“最強の横綱”白鵬の功罪を検証する「異次元の記録、社会貢献にも尽力」衝撃の退職は“避けられなかった”のか?「旧態依然の相撲協会」批判の声も
posted2025/07/10 17:01

6月9日の会見で日本相撲協会を退職することを発表した白鵬。不満を述べることなく、静かに協会を去った
text by

荒井太郎Taro Arai
photograph by
JIJI PRESS
60分の予定が45分で…淡白だった退職会見
大の里が入門から所要13場所という史上最速で角界最高位に上り詰め、8年ぶりとなる“国産横綱”の誕生で日本中が歓喜に沸いたのもつかの間、元横綱白鵬が相撲協会を退職するという衝撃のニュースによって、一大慶事の話題は吹っ飛んでしまった。
6月9日に行われた退職および今後の活動方針についての会見冒頭で白鵬さんは「相撲に愛され、相撲を愛した25年でありました。私、白鵬翔は日本相撲協会を退職し、新たな夢に向かって進み出すことを皆様にお伝えします」と切り出し、「世界相撲グランドスラム」なる構想を打ち出した。
その目的として語られた「日本のみならず、世界中のより多くの人たちに相撲の魅力を広げていきたい」という思いは、現役時代から抱き続けてきた大きな夢だった。世界の子供たちに門戸を広げ、横綱在位中の平成22年から15回にわたって開催してきた白鵬杯は、その大きな柱となっていた活動である。
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「今の自分の置かれている状況を考えますと、協会の中ではなく外の立場から相撲の発展に力を注いでいくことがいいと判断した」
昨年2月、弟子による暴力行為の発覚がもとで師匠を務めていた宮城野部屋が閉鎖となり、弟子たちとともに同じ一門の伊勢ヶ濱部屋へ移籍。自らも委員から年寄に2階級降格、減俸の処分を受け「師匠としての素養、自覚が大きく欠如している」とのことで、師匠の前伊勢ヶ濱親方(元横綱旭富士、現宮城野親方)のもとで、部屋付き親方として“修業中”の身であった。こうした現状で自らの夢を追いかけるのは困難だとして、相撲協会を退職するに至った。