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白鵬が語った「負けは死だと思っている」危険なダメ押し、肘打ち…“誰もが惹かれる好人物”なぜ土俵で豹変?「部屋閉鎖処分は本当に“重すぎた”のか」

posted2025/07/10 17:02

 
白鵬が語った「負けは死だと思っている」危険なダメ押し、肘打ち…“誰もが惹かれる好人物”なぜ土俵で豹変?「部屋閉鎖処分は本当に“重すぎた”のか」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

荒々しい取り口がたびたび問題視された白鵬。その是非をめぐって大きな“分断”が生まれた

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荒井太郎

荒井太郎Taro Arai

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Takuya Sugiyama

 大きな衝撃をもって報じられた白鵬の日本相撲協会退職。力士として数々の記録を打ち立て、土俵の内外で相撲界の発展に寄与してきた大横綱は、なぜ問題行動を繰り返し、毀誉褒貶にさらされるようになったのか。いま、あらためて“白鵬の功罪”を検証する。(全2回の2回目/前編へ)

ダメ押し、肘打ちで骨折も…白鵬の“危険な取り口”

 土俵内外で数々の輝かしい功績を残してきた白鵬さんだが、自身が引き起こした数々の問題ある言動により、その輝きを曇らせている。厳重注意の回数は片手では足りず、処分も複数回受けてきた。こんな横綱は過去にいないどころか、力士全般を見渡してもこれに相当する者はいない。

 平成31年春場所千秋楽の優勝インタビューで“三本締め”を行い、けん責処分になった。また、“日馬富士暴行事件”の渦中にいながら、事件直後の29年九州場所千秋楽には「日馬富士関と貴ノ岩関を再びこの土俵に上げてあげたいなと思います」と優勝インタビューで発した上、観客に万歳三唱を促して厳重注意となったこともあった。

 こうした言動におそらく深い意図や計算はなかったに違いない。サービス精神旺盛な性格からして、単にその場で観客を喜ばせたかったのであろう。ただし、第一人者という立場として時と場合をわきまえるべきだった。そんなことよりも大横綱らしからぬ、荒々しい取り口は決して看過できない問題であった。

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 勝負がついた後の無用なダメ押しは目に余り、平成28年春場所8日目は寄り切った嘉風を土俵下に投げ飛ばし、直撃を受けた井筒審判長(元関脇逆鉾)が左大腿骨を骨折する重傷に見舞われた。カチ上げとは似て非なる“肘打ち”は、眼窩壁骨折や脳震盪による“一発KO”の被害者を複数出している。数字上の大記録を手放しで称賛する擁護派は、こうした度重なる狼藉をなぜかスルーするか、「ルールで禁止されているわけではない」と言わんばかりの態度を取る。だから古くからの好角家の間で“分断”が起きる。

【次ページ】 好人物がなぜ土俵で豹変?「負けは死だと思っている」

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