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「彼女はギフトだ」NBAペイサーズで日本人トレーナーが“愛される”理由…激闘ファイナルの舞台裏も明かす「こんなに楽しいシーズンはなかなかない」 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byNBATA, Maddie Meyer/Getty Images

posted2025/07/03 11:02

「彼女はギフトだ」NBAペイサーズで日本人トレーナーが“愛される”理由…激闘ファイナルの舞台裏も明かす「こんなに楽しいシーズンはなかなかない」<Number Web> photograph by NBATA, Maddie Meyer/Getty Images

NBAインディアナ・ペイサーズでトレーナーを務める佐藤絢美さん(左)。激闘となったファイナルを振り返った

 実は佐藤は、対戦相手のサンダーとも縁がある。かつて、インターンとして4カ月間、サンダーの傘下にあるGリーグチーム、ブルーで働いていたことがあったのだ。そして、その時のブルーのヘッドコーチが現サンダーのヘッドコーチ、マーク・デイグノートで、アシスタントコーチ陣の中にも、当時ブルーのコーチだった人が多い。だからこそ、サンダーがペイサーズと同じようにすばらしいチームであることがわかるという。

「どちらのチームも、サプライズでここまで来たのではなくて、ゼロから積み上げて来たチーム。一夜にしてできたわけではなく、計画を立ててみんなで勝ってきた2チームだからこそ、すばらしいシリーズだったのだと思います」

 サンダーもペイサーズも、すばらしい組織である最大の理由として、リーダーシップがしっかりしているからだと、佐藤は語る。

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「一言で言うと、どちらのチームもリーダーがしっかりしているんです。GMなどマネージメントも、コーチ陣もすばらしい」

 何よりも、マネージメントも、コーチたちも、スタープレイヤーだけでなく、チーム全体に目配りができる。それは選手だけでなく、佐藤のようなスタッフに対しても、だ。だからこそ、組織全体がそういった思いやりの気持ちであふれている。

「辛いときに、辛い人をそのままにしない。活躍できなかったり、出場時間がもらえないなど、うまくいかなかった選手を、コーチも、スタッフも放っておかないチームです。誰かが声をかけて、みんなでくみ取ってあげる。そういうことを上の人がやっていると、下もそういうふうに見て育つのだと思います。たぶん、サンダーもそういうチームだと思います。自分がブルーにいた時も、役職がなんだろうと声をかけて、みんなでやるっていうのを上がしっかり見せてくれて、スタッフ全員がそれを当たり前のこととして、毎日過ごせていました。それが当たり前のカルチャーが出来上がった2チームなんじゃないかなと思います」

「第二のお父さん」

 佐藤自身も、そんなリーダーの存在に助けられ、学ぶことがたくさんあったという。

 特にペイサーズのヘッドコーチ、リック・カーライルは、佐藤が「第二のお父さん」と言うほどの存在だ。佐藤が6年前にマッドアンツのアスレティックトレーナーの責任者に就いたときには、リーダーとしてどんなところに気をつけたほうがいいのかを教わり、その後も様々な場面で相談に乗ってもらってきた。

「相談したらはっきり言ってくれますし、常に気にかけていただいています。お父さんと言ったら、『そんなに年とってないよ』と怒られるかもしれないですけれど」と笑った。

「コーチ・リックでなかったら、こんなに楽しいシーズンじゃなかったです」

【次ページ】 「コーチ・リックは“勝ちを譲る”人」

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