「彼女はギフトだ」NBAペイサーズで日本人トレーナーが“愛される”理由…激闘ファイナルの舞台裏も明かす「こんなに楽しいシーズンはなかなかない」 

　カーライルHCから言われたことで、特に印象深い言葉がある。

　“Let others win”（他の人に勝ちを譲る）

　チームとしてシーズンを戦うなかで、責任者だからといってすべてを自分で抱え込んだり、手柄にするのではなく、たとえばアシスタントに重要な役割を任せ、まわりに花を持たせることも必要だというアドバイスだった。

©︎Indiana Pacers

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「コーチ・リックはよく、負けた試合のロッカールームで『今日のメディア（取材）では、僕が全責任を取って説明するから。今日の負けは僕のせいだったってちゃんと言うから』って言うんです。逆に勝ったときには、それを自分の手柄としないで、『このコーチがスカウティングをしてくれた』とか、まわりを立てる。前に出なきゃいけない時は出るけど、まわりを前に出させる人です」

組織で生き残るために必要なこと

　サンダーのデイグノートHCからもらったアドバイスの中にも、今でも心に留めていることがある。

　"Be irreplaceable"（替えのきかない人材になれ）

「自分は、アメリカ人みたいにハイレベルの英語で説明する能力はないし、バックグラウンドが分かっていないとできないような交渉をしたり、性格的にポリティクス（駆け引き）を駆使して生き残ることはできない。ただ、いないと困ると思われるようなことを見つけるようにコーチ・マークに言われて、それは気をつけてやってきました」と佐藤。

　本人は口にしないが、選手から『ギフト』とあだ名をつけられたことは、まさに、佐藤がそんな、替えのいない存在になっていることの表れだ。

「（ペイサーズに移って2年目の）今シーズンは、自分にも少し余裕ができたので、試合に負けた後でも、ジョークを言ってみたり、できるところからポジティブエネルギーを持ってくるようにして、それはうまくできたんじゃないかなと思っています。そういうのって大事なので。そういう時こそ、みんなでねぎらい合って頑張ろうって。シーズンが長く、スタッフもみんな疲れ果てていたんだろうけど、それでもみんなで力を合わせたから頑張れたのかなと思います。

　みんなが笑った姿でシーズンを終えたかったから少し悔しいけれど、みんなまたリフレッシュして来シーズンに頑張ってくれると思うので、その一員として参加できることを願って、私も頑張りたいと思います」

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