サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
”30歳で21億円超の値札”日本代表MFは移籍濃厚か「リーズならタナカアオと再び」「最後のプレミア挑戦を逃すとは」ポルトガル人記者の守田英正評
text by

フランシスコ・セベ Francisco Sebe(O Jogo)
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/06/21 17:02
2月、CLドルトムント戦での守田英正。日本代表MFに待つ未来はポルトガル名門残留か、それとも他リーグへのステップアップか
2024-25シーズン、スポルティングを率いた3人目の指揮官、ルイ・ボルジェスは国内2冠の立役者のひとりだ。12月下旬に就任してから、国内での黒星はリーグカップ決勝でベンフィカにPK戦の末に敗れた敗北のみ。その一戦を含め、負傷がちだった守田はボルジェス監督のチームで15試合を欠場したが、現在43歳の指揮官の構想には常に入っていた。
「彼(守田)が移籍するとは、まだ誰も言っていない」
2月にボルジェス監督は話した。
ADVERTISEMENT
「私の目には、守田はファンタスティックな選手に映っている。スポルティングの監督に就任する前から、そう感じていたし、注目していた。スポルティングに来て、実際に近くで彼を見るようになってからは、その思いをさらに強くしている。少なくとも、彼はまだスポルティングの選手であり、私は彼を信頼しているし、人間としても好意を寄せている。これが私の正直な胸のうちだ」
リーグ3連覇のためには守田は不可欠
あれから数カ月が過ぎた今も、指揮官は同じ思いを抱いているはずだが、フロントの考えは異なるかもしれない。そしてボルジェス監督がその間に見せた優れた手腕とアイデアが、逆にフロントに守田の放出を進める要因になった可能性はある。
前編で記したように、守田やダニエル・ブラガンサが負傷離脱した際、センターバックのゼノ・デバストを中盤にコンバートして、成功に導いている。すでに代役はいると、経営陣が考えたとしても不思議はない。
またフィーゴやクリスティアーノ・ロナウドを筆頭に、これまでに多くのワールドクラスを輩出してきた伝統を持つアカデミー出身のセントラルMF、エドゥアルド・フェリッシオモやジャアオ・シモエスも頭角を現している。どちらもまだ18歳ながら、前者は後半戦の重要な時期にしっかりと穴を埋め、後者はチャンピオンズリーグでも堂々とプレーした。
とはいえ、10代のふたりはまだまだ、さまざまな側面で守田のクオリティーに及ばない。特に継続性の点で、大きな差がある。守田をピッチに送り出す時は、完全なる信頼から不安など感じないはずだが、ティーンエイジャーの若手なら、ギャンブル的なところもありそうだ。だから現場としては、1950年代以来のリーグ3連覇を狙うには、この日本代表セントラルMFの経験が必要だと感じているのだろう。
田中碧のいるリーズに移籍なら…
ここに大きなジレンマがある──スポルティングは財政面を最優先に考えて守田の移籍を認めるべきか、それともチームの成功の確率を少しでも高めるために残留させるべきか。

