酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「受験勉強がないのが大きいんです」“慶応義塾高→慶大”が気づけばプロ野球一大勢力に…“打率.349”パ首位打者の柳町達だけではない
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2025/06/17 11:01
3割5分台も見える高打率でパ・リーグの首位打者に立つ柳町達。慶応義塾高校→慶大出身者が近年のプロ野球で一大勢力になっている
野球だけでなく他競技や音楽、芸術なども含めて特色ある中学生を1学年40人程度入学させる制度を、上田前監督も含めた委員会が企画し、実現させた。内申点は45点満点で38点以上が必要だが――白村以降は、推薦入学で塾高に入った選手だ。
2005年春には43年ぶりに甲子園に出場。以後、2008年春夏、2009年春、2018年春夏、そして23年は春夏ともに出場し、夏は1916年以来107年ぶりに優勝した。
「受験勉強がない。これが大きいんですね」
では、塾高出身プロ野球選手が活躍できるのはなぜか? 森林貴彦監督の言葉が興味深い。
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「塾高には、受験勉強がないんです。これが大きいんですね」
選手は、学校の成績によって慶応義塾大学への進学が決まる。授業のレベルは高いから、選手は日々勉強しなければならないが、受験のための詰込み型の勉強はしない。そして塾高では、学生コーチの指導の下、自分の野球を自分で考え、技術を磨く習慣がついている。「自分で進化できる」ようになるのが最大の強みだろう。
23年夏の甲子園優勝組は、今、慶応義塾大2年生となった。捕手の渡辺憩、内野手の八木陽、福井直睦、外野手の丸田湊斗らはすでにリーグ戦に出場しているが、3年後にどんな選手がプロ入りするだろうか?
今季の交流戦は“圧倒的にホーム有利”に?
【第12週】 2025年6月9日から6月15日まで
交流戦はセ29勝パ41勝1分だが、セの主催ゲームはセ15勝パ3勝、パの主催ゲームはセ14勝パ38勝1分と、極端な「ホーム有利」となっている。今週はセの8勝27敗。残り2カードはセの主催なので、セの盛り返しが予想できる。
【チーム順位】
〈セ・リーグ〉
・通算
阪神64試35勝27敗2分率.565
DeNA62試31勝28敗3分率.525
広島61試30勝29敗2分率.508
巨人64試31勝31敗2分率.500
中日63試29勝32敗2分率.475
ヤクルト59試18勝39敗2分率.316
・第12週
中日6試3勝3敗0分率.500
広島6試2勝4敗0分率.333
巨人6試1勝4敗1分率.200
DeNA6試1勝5敗0分率.167
ヤクルト6試1勝5敗0分率.167
阪神6試0勝6敗0分率.000
首位の阪神が6連敗するなど5球団が負け越し。ロードとホームで極端に勝敗が異なる今季の交流戦を反映している。
〈パ・リーグ〉
・通算
日本ハム63試36勝25敗2分率.590
オリックス61試32勝26敗3分率.552
西武62試34勝28敗0分率.548
ソフトバンク62試32勝27敗3分率.542
楽天62試29勝32敗1分率.475
ロッテ59試23勝36敗0分率.390
・第12週
オリックス6試5勝1敗0分率.833
西武6試5勝1敗0分率.833
日本ハム6試5勝1敗0分率.833
ソフトバンク6試4勝1敗1分率.800
楽天6試4勝2敗0分率.667
ロッテ6試4勝2敗0分率.667
全球団が大勝。勝っても順位にほとんど反映されない事態になっている。
【打撃成績】※打撃の総合指標であるRC(Runs Created)順
〈セ・リーグ〉
岡林勇希(中)25打9安1本6点3盗 率.360 RC6.45
内山壮真(ヤ)23打9安1本3点0盗 率.391 RC5.32
小園海斗(広)25打9安0本1点1盗 率.360 RC5.06
佐藤輝明(神)24打7安1本1点1盗 率.292 RC4.74
石伊雄太(中)18打8安0本1点0盗 率.444 RC4.60
〈パ・リーグ〉
レイエス(日)22打11安2本10点0盗 率.500 RC8.66
水谷瞬(日)25打9安2本3点0盗 率.360 RC6.12
中川圭太(オ)15打7安1本1点2盗 率.467 RC5.77
郡司裕也(日)16打6安1本2点0盗 率.375 RC5.19
清宮幸太郎(日)25打10安0本3点1盗 率.400 RC5.17
セではヤクルトの控え捕手だった内山の打率.391が目立つ。本塁打は中日・岡林、阪神・佐藤など10選手が1、打点は中日・岡林が6、盗塁も岡林が3で最多だった。パは好調日本ハム勢が上位にひしめく。レイエスは11安打、1位の10打点の荒稼ぎ。本塁打は、昨年の交流戦で売り出した水谷がレイエスと並んで2本。盗塁はロッテ藤原恭大が4。
【投手成績】※リーグ平均防御率に準拠したPR(Pitching Run)順
〈セ・リーグ〉
山﨑伊織(巨)1登8回 責0率0.00 PR3.21
伊藤将司(神)1登7.2回 責0率0.00 PR3.08
グリフィン(巨)1登7回 責0率0.00 PR2.81
ジャクソン(De)1登1勝7回 責0率0.00 PR2.81
吉村貢司郎(ヤ)1登1勝7回 責0率0.00 PR2.81
〈パ・リーグ〉
大関友久(SB)1登9回 責0率0.00 PR2.29
北山亘基(日)1登1勝8回 責0率0.00 PR2.04
九里亜蓮(オ)1登1勝8回 責0率0.00 PR2.04
上沢直之(SB)1登1勝7回 責0率0.00 PR1.78
達孝太(日)1登1勝7回 責0率0.00 PR1.78
岸孝之(楽)1登1勝7回 責0率0.00 PR1.78
セは巨人・山﨑が12日のソフトバンク戦で8回零封も勝ち星つかず。救援では中日・松山晋也が3セーブ。阪神・及川雅貴が3ホールド。パはソフトバンク大関が12日の巨人戦で9回零封も、味方の援護なく勝ち星つかず。救援では西武・平良海馬が4セーブ、オリックスのぺルドモ、西武の甲斐野央が3ホールドを挙げた。
〈記録〉
オリックスの九里亜蓮が、10日のDeNA戦で史上158人目の1000奪三振。

