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球界唯一の“50歳現役”には「ラジコンが役立った」!? 中日レジェンド・山本昌が語った“40代でも大活躍”のワケ「ラジコンと知り合う前だったら…」
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酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byBUNGEISHUNJU
posted2025/06/20 11:00
日本球界で唯一、「50代まで現役」を達成した元中日の山本昌。40代でも2度の2ケタ勝利をマークするなど長く活躍できた要因は…まさかのラジコン!?
山本昌は趣味人として知られ、現役時代からプロ顔負けのラジコン好きであるのは有名な話。だが、野球と何の関係があるのか……訝しんでいると説明をつづける。
「もともと、投球のメカニックとか体の動きに興味を持ったのは、ラジコンがキッカケなんです。ラジコンがうまい人は、車のセッティングを重要視していて、いろんなことを変えていきます。『そんなに変えて大丈夫なの?』というぐらい。走らせて、いろいろ試して、ノートに細かく書いて。それはすごく大変な作業です。僕は野球で『こんなに一生懸命やってるのかな』と、ふと我に返ったんです」
ラジコンから学んだ「意外なこと」
ラジコンのサーキットで上級者のしぐさを観察していて気づいたことだった。彼らが大胆にセッティングを変えると、驚くことにさらに速くなっているのだ。
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「あれを見て、『俺の投球フォームもいまがベストじゃないかもしれない。連続最多勝のタイトルを取ったけど、もっと上があるのかな』と思ったんです」
山本昌は93年に17勝、94年には自己最多の19勝をマークした。だが、95年は開幕当初から左膝の痛みを訴え、わずか2勝にとどまった。12月には手術。リハビリ中に出合ったのがラジコンだった。
ちょうど同じ頃、「初動負荷理論」という聞き慣れない言葉を知った。中日のトレーニング室に設置された、見慣れない専用マシンを使ったところ、動きの感覚がよかったという。どんなトレーニング理論なのか興味を持ち、まだインターネットが普及していない時代に、ある噂を聞きつけた。
鳥取で合宿をやっているらしい――。
山本昌は「初動負荷理論」を提唱していたワールドウィングの小山裕史に電話を入れて鳥取に足を運んだ。そして、小山の考え方に触れ、山本昌はこうお願いした。
「僕のピッチングフォームを一緒に作っていただけませんか」

