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「防御率12.38→0.93」藤浪晋太郎31歳が5月以降“まるで別人”の快投…菅野智之と同じ「トレード移籍説」からメジャー昇格はあり得るか
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広尾晃Kou Hiroo
photograph bySteph Chambers/Getty Images
posted2025/06/10 17:20

藤浪晋太郎は5月以降、マリナーズ傘下のマイナーで快投が続いている
これを「改善した」と見るか「たまたま走者を返していないだけ」と見るかは意見が分かれるだろうが、被本塁打は20試合を投げてまだ0、通算の被打率は.183、100マイル近い球速は威力抜群で、ストライクゾーンに入りさえすれば「まず打たれない」状態になっている。
メジャー昇格できない事情…むしろトレード移籍か
とはいっても、制球力のなさは改善されたとは言えない。さらにチーム事情もメジャー昇格を難しくしている一面もある。マリナーズはアメリカン・リーグ西地区でアストロズと激しい首位争いをしている。救援陣はクローザーのムニョス、セットアッパーのスパイアー、バルガスなども好調をキープ。藤浪がこの中に割って入る可能性は大きくないとみられる。むしろ、他球団にトレードされてメジャーに昇格する可能性の方が高いのではないか。
藤浪はNPB時代にイップスを発症したといわれるなど、メンタル面に問題があるとされる。それが制球力に影響を与えているとされるが、彼自身はアメリカでの野球生活を楽しんでいるようだ。
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沖縄県宜野座村の阪神の春季キャンプでのこと。今は室内ブルペンが建てられ、投手は窓越しに見るしかないが、2018年以前はオープンのブルペンだった。藤浪はこのブルペンですさまじい球を投げていた。捕手のミットを叩く音は、藤浪だけ別物だった。
藤浪はこの4月で31歳となった、とはいえそのスケールの大きさは衰えていない。7月31日のトレード期限が1つの目安になる。この期限まで好投を続ければ、藤浪の可能性は開けてくるのではないか。
大谷や阪神の元同僚・青柳らはどうなっている?
藤浪と同学年の大谷や、マイナーからの昇格を目指す青柳晃洋まで――現地6月2日から8日までの日本人メジャーリーガーの成績を見ていこう。
〈大谷翔平/ドジャース〉
64試256打75安23本39点11盗40球73振 率.293 OPS1.021
6月2日メッツ戦 4打1安1本2点0盗 0球2振
6月3日メッツ戦 3打0安0本0点0盗 2球2振
6月4日メッツ戦 4打2安0本0点0盗 0球1振
6月5日メッツ戦 4打2安0本0点0盗 0球2振
6月6日カージナルス戦 4打1安0本0点0盗 0球0振
6月7日カージナルス戦 4打1安0本0点0盗 1球0振
6月8日カージナルス戦 4打1安0本0点0盗 0球0振
7試合27打8安1本2点0盗 3球7振
安打こそ出ているが、本塁打は2日の1本だけ。打球が上がっていない印象だ。大好きな6月に、どれだけ本塁打を打つことができるか?