野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
「2018年になぜ失速?」ラミレス前監督の無念と今季のDeNAとの共通点「状況はあの時と似ている」「カントクは孤独。三浦さんは頑張ってほしい」
text by

村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNanae Suzuki
posted2025/06/10 11:02

2017年の日本シリーズ進出をはじめ、短期決戦にめっぽう強かったラミレス監督。今季のDeNAは2018年と似た状況というが…
「CSはシーズンが終わった後なので、すべてのデータがあり、必要な要素が揃っているんです。たとえば甲子園球場での阪神戦なら、12試合分のデータ。誰が一番優れた投手だったか? 打率は? そういう、選手それぞれのデータを分析して戦略を立てます。
こちらのラインナップで、たとえば宮崎敏郎が、甲子園では数字が悪い。でもホームランを3本打っていて、全部ソロだと。だとすれば、確率的に5番よりも6番に起用する。相手投手はDeNAに通算でも1~2点しか与えていない。ならばスモールベースボールにして、序盤でもバントをするなりして1点を獲りに行くなど、ケースバイケースで戦略を立てていました。
だから、データを十分に駆使できる短期決戦は、僕のカントク戦略と集中力が最も発揮される試合であり、『すごい面白い』ことなんですね」
日本シリーズ進出翌年の期待と失速
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2017年にラミレス率いるベイスターズは3位から日本シリーズに進出し、ソフトバンクをギリギリまで追いつめた。それは横浜にとって本当に素晴らしい結実だった。だが、勝負の世界は非情だ。「来年は完全優勝」と大きな期待を背負ったチームは静かに崩れていく。
FAで大和を補強し、ドラフトで神里和毅、トレードで伊藤光などを獲得したが、一方でシリーズ進出の立役者となったショート倉本寿彦やキャッチャー戸柱恭孝の出場数が大きく減少し、センター桑原将志も打席数が減るなど、センターラインが数字を落とす。また先発陣の故障もあって、チームは終始噛み合わず。2018年はラミレス政権になってはじめてのBクラス、4位という成績に終わった。あの時、何が起こっていたのか。
「ファンから優勝を期待されていたこと、他のチームも補強をしたり、戦力を上げてきたことで当然プレッシャーはありました。ただ、球団の考えていることと、カントクの考えていることは、ちょっと違います。球団はGMがいて編成チームがあって、その人たちが来年勝つために様々なデータを分析して、どういう選手を獲得するべきかを考える。現場のカントクは、獲得した選手をどう使うか考える。
たとえば、の話です。この二塁手は来年もレギュラーで使いたい。だけど、球団は彼では足りないから、と新しい選手を獲得することもあるんです。カントクは選手を使う立場なので、新しい選手のことを知ることからはじめなければいけません。
じゃあ、レギュラーだった選手にはどういう影響があるか。外から新しい選手を獲る必要はなかったんじゃないか……と心の中では思っても、実際に戦力として加わればカントクとして、どう使うかを考えていく。そういうところで新旧の選手の組み合わせがうまくいかなくなってしまった、ということは正直あったと思います」