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「松井が寝てるとマンションまで呼びに…」長嶋茂雄は“遅刻する松井秀喜”を待った…なぜ怒らなかったのか? 2人の師弟関係「ベンチで目も合わせない感じ」 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph bySankei Shimbun

posted2025/06/05 06:00

「松井が寝てるとマンションまで呼びに…」長嶋茂雄は“遅刻する松井秀喜”を待った…なぜ怒らなかったのか? 2人の師弟関係「ベンチで目も合わせない感じ」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

長嶋茂雄の訃報を聞き、アメリカから緊急帰国した松井秀喜。“監督と選手”を超えた2人の関係

「表情にはさほど出してなかったけどね。でも任せたくてもなかなか任せられなくて、焦ってた部分もあると思うんですよ。『3番最強説』とか言って誤魔化したりして(笑)」

 長嶋による松井への直接指導が本格化したのは、実はこの頃からだった。香坂はその理由をこう推察する。

「トータルではちゃんと成績を残すんだけど、スランプが長い選手でもあった。でも何かのきっかけでいきなりよくなる。そういうのを感じるようになって、スイングチェックを始めたんだと思う」

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 それからというもの、松井は時間と場所を選ばず長嶋に呼び出された。香坂は「今、巷で流行ってるけど、まさに『いつやるの? 今でしょ!』って人だからね」と苦笑する。

 通常は小俣が松井に連絡するのだが、松井の電話がつながらないと香坂のところにかかってきた。香坂は松井が自宅で寝てると踏んでマンションまで起こしに行ったこともある。

「もちろん、松井も『えーっ』って感じですよ。でもそういう問題ではないですから。監督が指導してくれると言ったら、行かないわけにはいかない」

 長嶋の性格を熟知する中畑は、「一回やり始めたら止まらない人なんです」。

 事前に時間が決まっていても、のんびり屋の松井は長嶋を待たせることがよくあった。ただ松井以上に突き抜けた伝説をいくつも持つ長嶋は、小さいことをとやかく言うタイプではない。小俣が言う。

「長嶋さんもイライラはしてるんだよね。でも松井が来るとそんなことはもう忘れてる」

#2に続く
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