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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「若くて強い井上尚弥と戦いたい」中谷潤人の名参謀ルディが“仰天発言”の真意を明かす「永遠にNo.1のボクサーは存在しないんだ」
text by

杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi/AFLO
posted2025/06/05 11:01
今年3月、表彰式で言葉をかわした中谷潤人(左)と井上尚弥。互いにリスペクトを感じるやり取りだった
――あなたはかねがね井上に敬意を払ってきましたし、その点にブレはないですよね。
RH 私はイノウエを心からリスペクトしているし、現在の世界ボクシング界で彼こそがパウンド・フォー・パウンド(PFP)No.1ボクサーだと思っている。そして、いずれ私はジュントにNo.1の座を引き継がせたいと願っている。モハメド・アリ、シュガー・レイ・レナード、ロベルト・デュランがそうであったように、すごいボクサーでもずっとNo.1の座に留まれるわけではない。永遠にNo.1だった選手は存在しないんだ。1週間でも、1カ月でも、1年でもいいから、PFP1位になれたらジュントにとって最高の勲章になる。世界王者として複数階級制覇も成し遂げたが、PFPのNo.1ボクサーは特別な栄誉だ。イノウエが現在のNo.1だが、いずれジュントにはその立ち位置に辿り着かせることができたら最高だよ。
「ダウンした後はさらに危険な相手になる」
――予想以上の激闘になった井上対カルデナス戦をどう見ましたか?
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RH 良い試合だったと思う。イノウエに関して私が気に入っているのは、彼は試合中に決して時間を無駄にはしないことだ。序盤から激しく攻め、早い回でKOできるのであれば実際にすぐにKOしてしまう。今回、イノウエは逆にパンチを浴びてダウンを喫した。それでもすぐに立ち上がり、その後はカルデナスを打ちのめしてしまった。
――左フックでダウンを喫しましたが、以降のアジャストメントは見事でしたね。
RH ダウン後、自分自身に腹を立てたのだろう。だからジュントには、「イノウエからダウンを奪うことがあったら、そのまま起きてこないようにしなければいけない」と伝えたよ(笑)。立ち上がってきたら、イノウエは怒りを持って攻めてきて、さらに危険な相手になる。これは冗談だが、テンカウントの前に立ち上がりそうだったら、蹴りを入れてでも11、12秒くらいまで倒れていてもらわないといけない(笑)。
―― 一部から伝わってきた“井上に圧勝したい”という言葉の真意はそういうことだったんですね(笑)。
RH イノウエも人間であり、パンチを浴び、ダウンをすることはあると示されてきた。ただ、ダウン後の強さを見て、私は余計にナーバスになったくらいだ(笑)。
――直近の4戦中2度ダウンを喫し、現在の井上はベストの状態ではないのではないかという一部の声をどう思いますか?


