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久保凛(17歳)がアジア選手権で「とても悔しい」銀メダル…それでも“建英のいとこ”とはもう言われない「日本人には2年間無敗」絶対女王の現在地
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和田悟志Satoshi Wada
photograph bySatoshi Wada
posted2025/06/02 17:01
5月末に韓国・クミで行われたアジア選手権800mで銀メダルを獲得した久保凛。シニア代表初選出の17歳が好走したが、本人は「とても悔しい」
少し前まではサッカー日本代表・久保建英のいとことして注目を集めていた久保だが、今や日本の女子中距離界を牽引する存在だ。
話題性や存在感の大きさから意外にも思えるが、久保が陸上日本一を決める日本選手権に出場したのは昨年2024年が初めてだった。そして、初出場にもかかわらず、初優勝を飾った。
その時にこんなコメントを残していた。
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「世界には2分を当たり前のように切っている方がたくさんいるので、今は世界との差があると感じています。その差を縮められるように、来年は1分台を目指したいと考えています」
その発言から1年後……どころか、わずか15日後のことだ。久保はあっさりと(もちろん当人には血の滲む努力があってこそだが)、日本人で初めて2分を切る1分59秒93の日本新記録を打ち立てた。実に19年ぶりの日本記録だった。かように、昨シーズンの久保は加速度的な成長を見せた。
その後はなかなか1分台には届かずにいるが、昨夏のインターハイ、今年5月3日の静岡国際、そして今回のアジア選手権と2分00秒台をマークしており、明らかにアベレージは上がっている。着実に力が付いているのは確かだ。
日本人選手相手には「2年以上無敗」と圧倒
また、5月は木南記念、アジア選手権と外国人選手に敗れたが、800mでは日本人相手に無敗のレースが続く。
筆者が調べた限りでは、久保が日本人に敗れたのは高1の4月まで遡る。アジア選手権では国際舞台での経験不足も露呈したが、国内無敵を誇るだけに、今回の敗戦はさらなる成長を遂げるための大きな糧になるにちがいない。
久保はすでに9月の東京世界選手権の開催国枠エントリー設定記録(2分00秒99)を突破しており、ワールドランキングでも出場圏内に付けている。
現状では世界選手権に出場できる可能性は高い。久保にとって、世界の大舞台はどのようなチャレンジになるだろうか?


