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久保凛(17歳)がアジア選手権で「とても悔しい」銀メダル…それでも“建英のいとこ”とはもう言われない「日本人には2年間無敗」絶対女王の現在地
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和田悟志Satoshi Wada
photograph bySatoshi Wada
posted2025/06/02 17:01
5月末に韓国・クミで行われたアジア選手権800mで銀メダルを獲得した久保凛。シニア代表初選出の17歳が好走したが、本人は「とても悔しい」
決勝は、前半から塩見が積極的に先頭を走り、すぐ後ろに久保が続いた。1周目(400m)を59秒40で通過。案の定、日本の2人のすぐ後ろにはインドの2選手が続いた。もう1人、中国のWU Hongjiaoも食い下がり、優勝争いは5人に絞られた。
「アジアの舞台で優勝したらタイムは付いてくるかなという考えで、とにかく勝ちにこだわった。ラスト300mぐらいまではいい感じで走れていて、このまま行けたらなと思ったんですけど……」
残り300mを切って満を持して先頭に立った久保は、残り200mでさらにギアを上げ、後続を突き放しにかかった。
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しかし、これで勝負が決することはなかった。
久保が先頭でホームストレートに入ると、後方からは一気にポジションを上げたWUが久保の背後に迫った。
「まさか中国の選手が出てくるとは思っていなくて、ラストの部分でもう動かなくなってしまっていて、対応できなかったです。とても悔しい」
そして、残り50m付近で逆転。ノーマークだった選手によって、久保の優勝は阻まれた。
久保はサードベストの2分00秒42の好記録だったものの、2位に終わった。
好記録も…本人は「呆然」の銀メダル
フィニッシュ後、久保はしばらく呆然とした表情を浮かべていた。塩見が駆け寄ると、悔しさが一気に溢れたのか、その表情が崩れた。もちろん誇れる結果だが、久保にとっては悔しい銀メダルになった。
日本チームのスタッフから日本国旗を受け取っても、なかなか笑顔は見せなかった。スタンドに知人か親族を見つけたのだろうか。その時になってようやく笑みがこぼれた。
「タイムは結構良かったと思っているんですけど、そこで勝ちきれなかった部分が、自分の弱さ。大事なところで勝ち切れる力を付けて、次の試合に臨みたいと思います」
帰国後はインターハイ近畿予選、日本選手権と続くが、久保は再びシニアの日本代表として国際舞台で活躍することを誓っていた。


