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「来年、早稲田は強いね」青学大・原晋監督は警戒も…超ルーキー加入でも花田勝彦監督が「現時点で箱根駅伝のことはあまり…」と答えるワケは? 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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posted2025/05/29 17:01

「来年、早稲田は強いね」青学大・原晋監督は警戒も…超ルーキー加入でも花田勝彦監督が「現時点で箱根駅伝のことはあまり…」と答えるワケは?<Number Web> photograph by BUNGEISHUNJU

有力ランナーの加入で駅伝シーズンも有力視される早大。一方で、チームを率いる花田勝彦監督が目指すのは、あくまで「世界」の舞台だという

 花田監督は「勝負」にこだわる姿勢を見せる。なぜなら、いまは記録が「インフレ」になっていると見ているからだ。

「5000mでは13分30秒台、1万mでは27分台が出るのが当たり前になってきました。私の感覚からすると、『出すぎ』なんです。もちろん、タイムが出る機会があれば狙っていくべきですが、それよりも大きな大会での順位が大切です。

 例えば日本選手権であれば、鈴木が上位に入るためには予選、決勝と2本走らなければいけません。レベルが高く、緊張感もあるなかで、2本とも13分30秒前後でまとめることが出来るのか。将来的に世界レベルで考えるならば、予選を通過したうえで、決勝で13分1桁くらいで走れる力をつけないと戦えない。まだそこまでの体力はないと思うので、今後、じっくり強化していきたいです」

箱根駅伝もあれば、世界もある…早稲田の未来

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 視線は世界を向いている。一方で、国内では箱根駅伝の注目度が上がり、社会的なインパクトも大きい。早稲田への期待は大きいが、箱根駅伝についてはゆったりと構えている。

「正直、現時点では箱根のことはあまり考えていません。それよりも夏までに個人の力をどうやって伸ばしていくのか、そのことの方がよく考えています。多分、夏からは切り替わるかと思いますが、私はいい意味で過去の練習メニューを忘れていて、自分が作った去年の合宿メニューを見て、『へー、こんなことやっているんだ』と驚くタイプです(笑)。去年は、夏合宿からチームとしての流れが良くなったので、それを踏襲しつつ、チームづくりは進めていくつもりです」

 強化とは単線ではない。箱根駅伝もあれば、世界もある。

 花田監督は、独自の道を進む。

 強い早稲田が戻ってくる予感がする。

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