- #1
- #2
スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
「来年、早稲田は強いね」青学大・原晋監督は警戒も…超ルーキー加入でも花田勝彦監督が「現時点で箱根駅伝のことはあまり…」と答えるワケは?
posted2025/05/29 17:01

有力ランナーの加入で駅伝シーズンも有力視される早大。一方で、チームを率いる花田勝彦監督が目指すのは、あくまで「世界」の舞台だという
text by

生島淳Jun Ikushima
photograph by
BUNGEISHUNJU
大学駅伝界の名門・早稲田大が今季ここまで好調を見せている。その原動力のひとつが、過去最高クラスの実績を持つ超ルーキーたちの加入だ。高校時代から一線級で活躍し、進路の選択肢も豊富だったはずの彼らが「臙脂のW」を選んだのはなぜなのか。監督の話からその理由が少しずつ見えてきた。《NumberWebインタビュー全2回の2回目/最初から読む》
今季、早稲田に加入した鈴木琉胤(八千代松蔭)と佐々木哲(佐久長聖)というスーパールーキーたち。競走部にとって大きいのは、ふたりの入学が上級生にも刺激を与えていることだ。
「上級生にとっては、『1年生のふたりに勝てれば日本のトップに近づける』という手応えがあるはずです」
花田勝彦監督はそう話す。
ADVERTISEMENT
日常に、日本の頂点が見える。
「日本のトップ」だった90年代前半の早大
早稲田の競走部が、集団として日本のトップレベルに近づいているのは花田監督が学生だった1990年代前半以来ではないか。
「私の2学年下には渡辺康幸がいて、同級生には武井隆次、櫛部静二がいました。3人とも本当に強くて、特にナベ(渡辺)は絶対に試合では外しませんでした。私はというと、練習では強いのに、試合では力を出せないタイプでした。それでも、『3人に勝てば、オリンピックに出られる』という思いが、オリンピック出場につながったと思います」
花田監督就任4年目にして部内競争力が高まり、個々の成長が促される環境がようやく整ってきた。
「現役を引退して指導者になった時に、瀬古(利彦)さんから『花田、指導力=勧誘力なんだよ』と言われましたが(笑)、いまはそのことを実感しています」