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プロ野球PRESSBACK NUMBER
落合博満から戦力外通告「お前はコーチやれ」中日・井上一樹監督、立浪前監督とは何が違う?「立浪さんはオーラがありました。でも…」ドラゴンズ主力が証言
text by

田中仰Aogu Tanaka
photograph byKYODO
posted2025/05/25 11:00

2009年、井上一樹の現役引退セレモニーで。落合博満監督と握手をする
「立浪さんはオーラがありました。実績も凄まじいじゃないですか。実際に喋ってみると優しい方なんですけど。僕のことをすごく買ってくれましたし、一軍の経験を積ませていただいた。最初のほうはしょっちゅう怒られましたけどね。でも、選手それぞれの持ち味があって、なかには立浪さんの理論を完ぺきに理解できない選手もいる。そこをわかるのが井上さんだと思います。選手のモチベーションを高めるの、うまいなと思うんで」
――監督からユウキって呼ばれてるんですね。
「なんか急に……今年からです(笑)」
「ミスして注意される世界ではない」
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選手は監督の発言を見ている。4月3日の巨人戦、センターの岡林は失策を記録した。試合後に井上はこんな言葉を残している。
〈身体能力が高いがゆえにっていうところがあるんでね。あれを1回やったことによって後手というか、それから前に突っ込むのが弱くなったよねっていうふうにならないようにしてほしい〉(日刊スポーツ)
井上の擁護発言を岡林も報道で目にしている。とはいえ、そうした発言で選手が救われるという安易な図式はやんわりと否定する。
「ミスしたからといって注意されるような世界ではないので、プロ野球は。もちろん次に活かしますけど」
岡林の言葉でハッとする。彼らにとって野球は仕事なのだ。「でも」と岡林は続ける。
「若い選手が思いきりプレーできるように、泥臭くやるというのも大切だと思いますよ。最終的には高校野球みたいな一発勝負の気持ち。そういうところを意識しようという雰囲気はありますね」
「モチベーションの低い選手がいる」
5月13日の豊橋市民球場、14日のバンテリンドーム、その2試合を取材するなかで印象的なシーンがあった。試合開始直前のベンチで首脳陣と選手全員がハイタッチをするのだ。今年から取り入れられた儀式だという。
もちろん選手のモチベーションも、泥臭くプレーする意識も必要だろう。だが同時にこんな疑問も湧く。それだけで1年間、勝ち続けられるのだろうか。
井上は前掲書でこう述べている。