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「花のために祈る時間も、自分の時間も、奪われすぎた」木村花さんの逝去から5年…フジテレビと『テラスハウス』裁判を続ける母が伝えたい思い
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伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph byL)Takuya Sugiyama、R)木村響子さん提供
posted2025/05/23 11:03
木村花さんが亡くなってから5年。現在も母・響子さんの闘いは続いている
「花のために祈る時間も、自分の時間も、奪われすぎた」
――明快な答えが、いまの私は出てこなかった。
木村 そう。大人からはあまり出てこないんですよ。年齢を重ねると、より正解を当てにきちゃうから、間違えることを過度に恐れるというか。でも、こういう問題においては間違いってあってないようなもので、過去を見ても、当時は許されていたことが、いまはハラスメントになっている。そう考えると、いま正解だとされていることなんて、数年後にはどうなってるかわからないんですよね。
――昨年末から地続きのフジテレビ問題もそうですよね。昭和や平成中盤までのバラエティ、高視聴率番組の制作や起用基準、拘束時間がいまではまったく通用しない。これまでの企業風土が人権侵害となっている。
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木村 「楽しくなければテレビじゃない」を掲げて、楽しさに全振りした結果、いろんな人の人生を壊したわけで。メディアのなかでも、放送局は特に大きな力を持ってるじゃないですか。人権問題にいちばん敏感でなければいけない人たちが、世の人より鈍感だったということで、これからは法律や罰則も必要じゃないかと思うんですけどね。
――響子さんは1月29日に、フジテレビ等に関する訴訟状況を弁護団出席のもと記者会見で公表。2月に発売された「週刊文春」で、心境を吐露しました。いま一度、フジテレビに思うことがあれば、聞かせてください。
木村 2020年にフジテレビと制作会社がこの問題に対して真摯に向かいあって、独立した第三者委員会を立ちあげて、何が問題だったのかと向きあって、体制を変えてくれていれば、私たちは5年間もがんばる必要はなかったんです。でも、それをしてくれなかった。まだまだしてくれる気配はないので、この5年間はまったく気が休まらないんですよね。花のために祈る時間も、自分の生活や体をケアする時間も、この5年間で奪われすぎちゃったなぁって感じています。花のことをあまり知らなくて、ニュースとしてこの事件を知ってる程度の人からは、「5年も経ってるのにまだやってんの?」って言われるんですけど、いや、それはフジテレビに言ってくださいよって言いたい。
