モーターサイクル・レース・ダイアリーズBACK NUMBER
「何が起きたのかわからない」史上最多のル・マン大観衆の前で地元フランスのザルコが独走優勝! 王者マルケスに大差をつけた“雨中のタイヤ選択”
posted2025/05/14 17:00
地元フランスGPで優勝して歓喜のヨハン・ザルコ
text by

遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
ル・マンで開催された第6戦フランスGPは、天候の変化によりマシンの乗り換えが可能となる“フラッグ・トゥ・フラッグ”でスタートが切られ、地元フランスのヨハン・ザルコが優勝した。
フランスGPは、2輪の世界グランプリが始まった1949年から3年後の51年に第1回大会が行われ、今年で62回目の開催。ル・マンで開催されたフランスGP(今年で37回目)の最高峰クラスでフランス人が優勝するのは初。54年に当時ランスで開催されたフランスGPでピエール・モヌレが優勝して以来、71年ぶりの快挙だった。
目まぐるしく変化した天候。そのため今年のフランスGPはレースが進む中で一度は赤旗中断となり、再開された決勝レースは“フラッグ・トゥ・フラッグ”ルールが適用され、1周減算の26周でスタートが切られた。
ADVERTISEMENT
このとき、グリッド上には、路面が乾いていくと判断したスリック組とさらに雨足が強くなると判断したレイン組に分かれた。その後、再び雨足が強くなり、スリックを選択した選手が再びレインタイヤを装着したマシンをチェンジするためピットに戻り、大荒れとなった。
こうしてポジションが激しく入れ替わる波乱のレース。だれが何位なのかも良くわからない状況の中でレインタイヤを選択した地元のザルコは、1周目の混乱の中で他車と接触して17番手までポジションを落としていたが、マシンの乗り換えでピットに入る選手を横目にポジションを回復。8周目にトップに立つと、今季圧倒的な強さを見せ、“フラッグ・トゥ・フラッグ”でもこれまで圧倒的な強さを見せてきたマルク・マルケスに約20秒の大差をつけての独走優勝だった。
史上最多の32万人がサーキットに
MotoGP史上最多の約32万人(3日間)の観客がサーキットに押しかけた。そのほとんどがキャンプ場でレースウイークを過ごすファンたちで、夜通しお祭り騒ぎ。そのためシーズン通してもっとも酔っ払いが多いだろうと思われる熱狂的なファンの大歓声は、観客数が多いことに加え、どこかに指揮者がいるんじゃなかろうかと思うほどの重厚感と一体感にあふれるものだった。


