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スターダム電撃退団の岩谷麻優「未練がないと言ったらウソになります」“新しい旅”を選んだ本当の理由は…アメリカでも注目「イワタニがやってくる」
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原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/04/30 17:21

4月28日にスターダムを退団した岩谷麻優。前日の27日に横浜アリーナで約2年間保持したIWGP女子王座を失っていた
今回の退団は唐突にも取られたが、岩谷の中では防衛戦ごとに退団というものを背負って試合をしてきたということだ。
「スターダムでも(ユニットの)STARSでもやれることは全部やりました。STARSはゴタゴタ騒動がありましたが、みんな集めてやれることはやったんです。横浜アリーナの記者会見で羽南と葉月が言い合いになったときは、気持ちが不安定になって涙が出てしまいました。みんな仲間ですから。自分にできることはやったつもりなので、無責任にも取れるかもしれませんが、あとは本人たちですね。羽南は少し暴走していますが、かわいい妹分、未来は明るいですよ。葉月は言い方きついけど、みんなが本当の葉月を知ってくれたらなあ。人間ですからいろんな感情がぶつかり合いますよ。自分の退団を知ったら気持ちが変わるかもしれませんね。上がいなくなったら、下が成長しますから大丈夫です」
「スターダムに未練がないと言ったらウソになる」
「スターダムの選手でよかったと思っています。嫌いになったわけでもないです。ずっと好きです。スターダムに未練がないと言ったらウソになります」
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4月27日、横浜アリーナで行われたIWGP女子王座10回目の防衛戦。朱里と戦った岩谷は敗れた。
朱里とは2024年1月4日にも防衛戦を行って勝っている。だが、あのときから朱里はアントニオ猪木の名を口にしてIWGPへの異常な執着を見せていた。
IWGPという名のタイトルにこだわる二人の女の戦い。それはどちらも悲壮感を漂わせた真っ向勝負だった。
岩谷は二段式ドラゴンスープレックスもハイフライフローもムーンサルトプレスもフブキラナも繰り出したが、朱里のキックを側頭部に3発浴びて「朱世界」という名のショルダーバスターに敗れた。21分54秒。これが岩谷のスターダムでのラストマッチになった。IWGP女子王座在位期間は丸2年を超える735日だった。
「辞めるからベルトを落としたんじゃないです。全力で戦った結果、完敗したんです。ベルトを失ったから新しい旅に出るんです」
岩谷はそう強調した。