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「誰も責められるべきではない」リバティアイランドの死を悼む「目をキラキラさせ、カメラにポーズを…」取材者が見た“強く、愛らしい名牝”の素顔
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島田明宏Akihiro Shimada
photograph byJIJI PRESS
posted2025/04/29 17:05

2023年、圧巻の強さで牝馬三冠を達成したリバティアイランド。全12戦で川田将雅が手綱をとった
4歳になった2024年、ドバイシーマクラシックで3着となったあと、右前脚の種子骨靭帯に軽度の炎症が確認され、春シーズンは全休した。なお、今回故障を発生したのは左前脚である。
天皇賞・秋は1番人気に支持されながら13着に終わるも、つづく香港カップでは香港最強馬ロマンチックウォリアーの2着と、復活の兆しを見せた。
そして、前走のドバイターフ(8着)をステップに、このクイーンエリザベス2世カップに臨んでいた。
馬房で目をキラキラさせ、カメラを向けるとポーズを…
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前述したように、昨年の香港カップではロマンチックウォリアーに敗れたわけだが、1、2着が逆になっていても何ら不思議ではないほどの能力の持ち主だった。
川田は、クイーンエリザベス2世カップの翌日、自身のインスタグラムにファンへのメッセージを寄せた。
「言葉で言い表せない想いです。
最悪の結末を迎えてしまい、彼女に申し訳ない。皆様からリバティを奪ってしまい、申し訳ありません。
彼女は最後まで全力で頑張ってくれました。転ぶことなく耐えてくれ、最後まで僕を守ってくれました。止まってからも、気丈に穏やかに振る舞ってくれ、強すぎるくらい強く、賢い子でした(後略)」
ファンと、リバティ自身に申し訳ないと述べているが、前述したように、誰の責任でもない。
川田や、中内田調教師、担当の松崎圭介調教助手、稽古をつけた片山裕也調教助手、中間を過ごしたノーザンファームしがらきの冨髙久志厩舎長らに愛され、大切にされながらリバティアイランドは強くなった。
馬房にいるとき、機嫌がよくなると目をキラキラさせる。そしてカメラを向けると、どのアングルが最も可愛く見えるかわかっているかのようにポーズを取ってくれた。
こんなに愛らしい生き物が、あんなにすごい走りを見せてくれるなんて――と、サラブレッドだけが持つ魅力を、ほかのどの馬より強く感じさせてくれる馬だった。
繰り返しになるが、リバティアイランドの走りを見ることができて、本当に幸せだった。
天国で、ゆっくり休んでほしい。

