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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「“なんちゃってアンダー”ではない」ケド「勝負球が覚えられれば。例えば…」敏腕スカウトが語った東大“サブマリン2世”渡辺向輝「ホントの評価」
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2025/04/29 11:03

ロッテで活躍した父・俊介さん譲りのサブマリンで活躍する東大4年の渡辺向輝。六大学野球リーグの明治大戦で9回2失点完投の好投を見せた
確かに、手だけ下げて投げる<なんちゃってアンダー>じゃない。
「体を沈めても、右ヒジが両肩のラインにちゃんとあるし、手首も立てて投げている。そう考えたら、すごく伸びしろありそうですよね」
また、ちょっと違った切り口から「懸念」を漏らしたスカウトの方もおられた。
「京大→ロッテ入団」田中英祐の記憶
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「彼(渡辺投手)のような存在に出会うたびに思い出すのが、京都大学からロッテに入った田中君ですよ」
最速149キロの快速球を武器に、2014年のドラフト2位でロッテに入団した田中英祐投手。
当時はたいへんな話題を呼んだが、故障やフォームを見失ったこともあって、現役生活は3年間で終わった。
「東大も京大もよく似た環境だと思いますが、おそらく子供の頃から大学まで、野球三分の勉強七分ぐらいの生活をずっと続けていた青年が、卒業した途端に、急に100%野球の生活になるわけですよ。まわりの連中もほぼ野球一色できた人間ばかりの中で、もちろん野球のレベルも格段に上がる、要求されることも難しくなってくる。強烈なカルチャーショックが襲ってくるんです。
私たちも、いろんな心配をしなくちゃならない。そういうネガティブな要素を吹き飛ばしてくれるぐらいの、本人の意欲とか勢いとか、覚悟とか……『こいつ、どうかしているんじゃないか』と思わせるぐらいのものを感じさせてくれて初めて、検討の対象になってくると思います」