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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「“なんちゃってアンダー”ではない」ケド「勝負球が覚えられれば。例えば…」敏腕スカウトが語った東大“サブマリン2世”渡辺向輝「ホントの評価」
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2025/04/29 11:03

ロッテで活躍した父・俊介さん譲りのサブマリンで活躍する東大4年の渡辺向輝。六大学野球リーグの明治大戦で9回2失点完投の好投を見せた
魔球で思い出すのは、元西武・潮崎哲也投手の「シンカー」であろう。
確か、中指と薬指の間という、あり得ない「箇所」にボールを挟んで投げ、打者の腰の高さから足元まで落ちたという伝説の魔球である。
「潮崎さんの場合は、渡辺君よりちょっと高い角度のサイドハンドだったから、スピードも140キロ近く出ていたんじゃないですか。それだけに、シンカーとの緩急もよけいに効いたんでしょうね」
切り札となる「勝負球を覚えられれば…」
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可能性として……と前置きして、
「潮崎さんのシンカーみたいな切り札ですよね。渡辺君も、そういう無敵の勝負球を覚えられれば……ね。今もシンカーは投げているようですけど、見ていて、あんまり効果がなさそうだし、スライダーも、もうちょっとエッジのきれた変化があると、もっと打ちにくくなるんですけどね。
結局、今、打者を打ち取れているボールはベルトより上の高さの速球だから、これと低めのシンカーとかの変化球で高低を攻めるってことですかねぇ」
別のスカウトの方からは、率直な称賛が聞こえた。
「ウチのチームのOBでアンダーハンドの投手だった人が、すごく誉めていたんですけど、渡辺君って東大に入ってからアンダーにしたんでしょ。あれ、なかなか出来ないらしいですよ。アンダーって、独特の体の使い方をしますよね。少なくとも高校ぐらいからやってないと、あれだけのフォームでは投げられないって」