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メッシもネイマールもエムバペも放出で“超高額スター不在”PSGがCL制覇を狙える「完璧なチーム」に覚醒のナゼ…“黄金期バルサ”との共通点
posted2025/04/29 17:04

CLベスト4に進んだPSG。メッシもネイマールもエムバペもいなくなったチームが今「完璧なチーム」になれた理由とは?
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井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Aurelien Meunier - PSG/Getty Images
リオネル・メッシ、ネイマール、キリアン・エムバペを手放したパリ・サンジェルマンが、ついに宿願の欧州制覇を果たすかもしれない。
スーパースターがいなくとも──あるいはいなくなったからこそ──圧巻のパフォーマンスを披露して結果につなげている彼らは、佳境を迎える今季のチャンピオンズリーグで、優勝に一番近いチームと見られている。
“死の組み合わせ”を勝ち上がり、CLベスト4
PSGは今大会、新設されたグループフェーズで「最も困難な組み合わせ」(ルイス・エンリケ監督)に直面し、アーセナル、アトレティコ・マドリー、バイエルン・ミュンヘンには敗れたものの、そこから息を吹き返してザルツブルクに3-0と完勝し、マンチェスター・シティには4-2の逆転勝利を収めた。
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プレーオフを経て辿り着いた16強では、プレミアリーグで首位を快走するリバプールを相手に2試合を通じて内容で上回り、PK戦の末に勝利。優勝候補を下して自らがその最右翼に名乗りを挙げると、準々決勝ではアストン・ヴィラに2戦トータル5-4で競り勝った。敵地での2試合目に2点を先行した後、3失点して追い上げられたことについて、ルイス・エンリケ監督は次のように話した。
「3分間に2失点すれば、難しくなってしまって当然だ。だがそれは重要なことでもある。苦境がうちの若い選手たちを成長させてくれるからだ」
確かに若いチームが急成長している感はある。
序盤から独走して早々に優勝を決めたリーグ・アンでは分かりにくいが、CLではグループフェーズ第5節までに前述の3敗を喫し、最終的に4勝1分3敗の15位でプレーオフに回った(8位までが16強へ、9位から24位までがプレーオフへ)。そこでは同じフランスのブレストに2戦合計10-0の完勝を収めたが、グループフェーズ首位のリバプールとのラウンド16では当然、下馬評で劣っていた。
リバプール指揮官「PSGは完璧なチームだ」
ところが蓋を開けてみると、PSGがポゼッションで完全に上回り(65%)、ハイプレスでリバプールのパス回しを機能不全にした。フビツァ・クバラツヘリアのゴールがオフサイドで取り消され、相手GKアリソンが神がかったセーブを幾度も見せ、終盤にハーヴィー・エリオットが試合唯一の得点を決めてアウェーチームが初戦をモノにしたが、その後、敵将アルネ・スロットにこう言わしめた。