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「今日も生きててよかった…」という猛練習の阿波野秀幸と「けっこう自由」西崎幸広…“信じられない”学生時代の出会いから「伝説の新人王争い」へ
text by

元永知宏Tomohiro Motonaga
photograph byTakahiro Kohara
posted2025/04/29 17:02

大学野球でも最も厳しいとも言われる亜細亜大でプロをめざした阿波野秀幸が大学日本代表で出会った西崎幸広に受けた衝撃とは…
西崎との出会い
春季リーグ戦が終わったあと、日米大学野球の日本代表を選ぶ候補合宿があり、そこで阿波野はプロで活躍するためのヒントを同じ4年生の投手から得ることになる。
「いくつかのグループが自然とできあがるんです。東京六大学と東都と、それ以外という感じで。ただ、ピッチャーは野手とは別メニューの練習なので、西崎とも自然と話をするようになりました」
ふたりとも身長は180センチほどだが、体重は60キロ台と細身だった。
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「体型も含めて、なんとなく似ている感じもありました。日米野球は1年置きに日本とアメリカで行われるんですけど、その年はアメリカ開催だったので一緒に過ごす時間も多くて仲良くなりました」
右と左の違いこそあるものの、キレのいいストレートと変化球を小気味よく投げ込むという共通点があった。
ニシのスライダーみたいなボールを投げられたら
「キャッチボールの相手もしたし、ブルペンでの投球もすぐ近くで見ましたけど、ニシのスライダーはよかったですね。横にスーッと曲がる感じなんですよ。『こういうボールを投げられればいいな』と思いました」
阿波野は西崎のスライダーを見て、同じ球の習得を目指した。
「僕の持ち球はストレートとカーブとチェンジアップでした。夏の日米野球が終わってからスライダーを試して、プロに入る前にある程度完成に近いところまでもっていくことができました。でも、ニシのように横に曲がるスライダーを投げるのは難しかった」