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「練習試合にも観客が殺到」「根尾と藤原の影響は大きくて…」山田健太が語る大阪桐蔭「最強世代」のリアル「今思えば“非日常”を味わっていたような…」 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph byHideki Sugiyama

posted2025/04/14 11:04

「練習試合にも観客が殺到」「根尾と藤原の影響は大きくて…」山田健太が語る大阪桐蔭「最強世代」のリアル「今思えば“非日常”を味わっていたような…」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

2018年に春夏連覇を果たした大阪桐蔭。歓喜の輪の中、こちら向きで破顔を見せるのが山田健太内野手だ

 チームに与える影響も大きかったという根尾と藤原は高校時代、どんな存在だったのだろう。愛知県出身の山田と岐阜県出身の根尾とは、中学時代からよく知る仲だ。ボーイズリーグの世界大会で日本代表に選ばれた時には同部屋だったこともあるという。

「中学生の頃から練習が終わって部屋に戻っても、ずっとYouTubeでバッティングの研究をしていたり、めちゃくちゃ意識が高かったです。高校に入った後もずっと練習していましたし、寮に帰ったらみっちり勉強していた。なんかすげえな、って。でも優等生っていうイメージが作られていましたけど、実際には明るいし本当に面白いんですよ」

藤原は「なんでも一番に…」

 一方で、藤原については「とにかく負けず嫌い」と話す。

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「なんでも一番になりたいタイプ。それがあそこまで技術を高めるところにつながっている。あいつにだけは負けたくない、とかそういうのではなく、とにかく自分が一番になるまでやる。そのためにとことん突き詰める。それが藤原の凄いところだな、と3年間見ていて感じました」

 高い意識を持った仲間たち。「大阪桐蔭」という常勝の看板を背負った日々の中で、選手たちはプレッシャーをどのように跳ね除けていたのか。

「確かに注目もすごかったですし、 勝って当たり前という空気はありました。ただ練習は本当に雰囲気良く、明るくやっていました。練習の時からひたすら日本一を意識して、本気で日本一を取りに行くんだ、という気持ちをみんなが持っていたので、嫌々やらされているような選手はいなかったと思います。重圧と戦うのではなく、それを圧倒するための練習だったのかなと思います」

「最強」への大きな挫折

 その言葉通り、2年春のセンバツ大会で優勝、3年は春夏連覇と無敵を誇った「最強世代」。しかし、その陰にターニングポイントとなった屈辱があった。新チームになった2年生の秋の神宮大会。順調に勝ち上がったが、準決勝で創成館(長崎)に足を掬われ4-7で敗れたのだ。

「あまりにもあっさり負けてしまって、このままじゃダメだ、となりました。キャプテンの中川(卓也内野手)と根尾が中心となって西谷監督にも相談しながらミーティングを何度も何度もやって……。このチームに何が足りないのか、どういうことに取り組むべきなのか、みんなで話し合いました。それまでは個が突出しているチームだったんですけど、そこからチームワークが良くなった。自分らの代にとってあの負けは本当に大きなターニングポイントになったと思います」

【次ページ】 「勝って当たり前」重圧をはねのけた理由は…

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