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レッドブル昇格も「平常心が保てている」角田裕毅の鈴鹿GP“合格ライン”はどこだ? 元F1ドライバーは「入れ替わったローソンに負けても…」
text by

雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/04/04 17:19
東京ショーランではかつてのチャンピオンマシンRB7をも即座に乗りこなした角田。果たして鈴鹿での“合格ライン”は?
浅木は言う。
「だから、レッドブルとしては角田に車を改良するための開発にも寄与してもらいたいはず。実際に(角田からの)インフォメーションは良いという話も聞いていますよ」
ショーランで見せた天賦の感覚
ショーランでの角田は、この日初めて乗ったという2011年型のRB7を最初から軽やかに扱った。V8エンジンの甲高いエンジン音を響かせ、狭く急なヘアピンでリアをスライドさせてぎりぎりで抜けていく。
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ローソンやアイザック・ハジャーが、同じマシンを駆って曲がり切れなかったり、フロントウイングを縁石にぶつけてしまったのに対し、角田は最初の周回から実に大胆で、かつスムーズだった。そうした感覚と技術の引き出しも、チームから求められているものなのだろう。
角田はここでもにんまりと笑いながら言った。
「RB7には乗ったことがなくて、どれくらい曲がるか分からなかった。最初は壁に一直線に行くような感じだったので、ドリフトするしか曲がりきれないなと思ったんです。人がいっぱいいて、プレッシャーがかかったけど、かっこよく決められてよかったです」
「何の巡り合わせか。すべてが集結してきている」
雨予報にもかかわらず、ショーランと角田の2度のトークショーのタイミングでは不思議と雨が上がった。そんな空模様も今の角田の勢いを示していたように見える。
「初めてのレッドブルで、最初のレースがまさかのホームグランプリ。ホンダとレッドブルの最終年。何の巡り合わせなのかなというぐらい色々なことが重なっている。東京でF1カーを走らせるなんて、子どもが考える夢のようなことも実現できた。すべてが集結してきている感じがします」
そんな日本GPを前に角田は山に出かけたのだという。
「ちょっと自分の時間を作りたくて、プライベートで出かけてきました。自然が豊かで、めちゃめちゃ田舎なんですけど、頭を休ませてモチベーションに繋げられる。そういうのが大好きで、一つのリセット方法にしているんです」
落ち着いた佇まいは、不安で縮こまっているわけではなく、むしろ自信の表れ。
「僕の心は満タンです」と角田は笑った。
ショーランが終わった後のお台場の道路には、ドーナツターンによる円いタイヤ痕がくっきりと刻まれていた。同じように、トップチームでも角田はその痕跡を残せるだろうか。
あるいは今回の鈴鹿で——。
〈全2回の2回目/はじめから読む〉


