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レッドブル昇格も「平常心が保てている」角田裕毅の鈴鹿GP“合格ライン”はどこだ? 元F1ドライバーは「入れ替わったローソンに負けても…」
text by

雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/04/04 17:19
東京ショーランではかつてのチャンピオンマシンRB7をも即座に乗りこなした角田。果たして鈴鹿での“合格ライン”は?
落ち着いたメンタルの理由
今季のレーシング・ブルズのマシンは競争力が高く、トップチームの一角を崩せるほどの走りを見せてきた。ただし、チーム戦術のまずさによって2戦ともポイント獲得のチャンスを逃した。これまでの角田ならば、激昂して無線で乱暴な言葉の一つでも吐いていたはず。ところが、今季はあくまでも毅然として、レース中もレース後も取り乱さなかった。
その成長の裏側にはリーダーとしての自覚があったのだという。
「今年から変えたというよりは、ステップバイステップで僕の目標にしているドライバーに近づこうとしています。2025年からはチームに若いドライバーが来る可能性があるということだった。そうなると一番経験があるのは僕ですし、車の開発の部分でもかなりフィードバックを求められる。
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リーダーとしてポジションを確立させようと一層フィードバックには力を入れましたし、何より車に乗っている時の自分の態度ですね。僕が考える本当のリーダーは、悪い内容だったレースの時こそチームを活気づけられるような存在。『今回は悪かったけど、また次に向けて開発していって将来的に強くなろう』と鼓舞できるリーダーになりたかったんです」
中野信治の“合格ライン”は?
元F1ドライバーの中野信治もショーランで角田と会い、その落ち着きぶりを感じた一人だ。
「裕毅の表情を見て、良い感じに力が抜けていると思いました。レッドブルに移ったからといって『どうだ!』という感じでもなく、平常心を保っているなと」
貸切新幹線内を利用したDAZNのファンイベントで名古屋入りした中野は、レッドブルのドライバーとして角田が求められる”合格ライン”についての見解も示した。
「レッドブルに乗ったからといって、いきなり表彰台とか優勝ではなく、どういうパフォーマンスを見せるか。それはマックスとの差ですね。一言にタイム差だけでもないかもしれません。データによって、今後の伸びしろをどう判断されるか。そこでポジティブな評価を受けられれば、それが裕毅にとっては合格ライン。
レースではレーシング・ブルズに戻ったローソンに負けることもあり得ると思いますよ。でも、それは全然気にする必要のないことで、裕毅としてはマックスに対してどういう走りができるかを考えるべきです」

