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ドラフト目玉への“不義理”で大学監督に土下座も…なぜ横浜を辞めたスカウトは巨人・原監督と阪神・星野監督に「一緒にやろう」と歓迎されたか
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長谷川国利Kunitoshi Hasegawa
photograph byJIJI PRESS
posted2025/04/08 11:03

2007年の原辰徳監督と星野仙一監督。巨人と阪神で指揮を執っている際の“スカウト引き入れ”秘話とは
それで後藤が獲れなくなったことで、久保よりも評価が下の土居をわざわざ自由枠で獲ろうとしたとしか思えないからです。武士の情けでこれ以上は書かないことにしておきますが、こういったことがまかり通ってしまったことが、横浜のその後の長期低迷を招いた一因の一つだと私は考えています。
東海大側にはもう頭を下げるしかありません。私は頭を丸めて大学に出向き、後輩の伊藤監督に土下座をして詫びました。久保にも本当に悪いことをしました。
退職願い…迷惑をかけた大学や久保に対する“けじめ”
私は横浜ではこれ以上スカウトは続けられないと、6月に退職願いを球団に出しました。球団社長やお世話になった先輩方、色んな方が「辞めるな!」と言ってくださいました。球団事務所で6時間以上も話しました。スカウトになってから一番お世話になった部長の高松さんは「あかん!」と短い言葉でしたが、何度も言ってくれました。これが一番堪えました。
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それでも私の決意は変わりません。このときの件もそうですが、数年前から、例えば一度断られた選手を再び逆指名で獲得するなど、色々と「おかしいだろ!」と感じることも多かったですし、今回のようなことが再びあったらアマチュアのチームや選手にまた迷惑をかけてしまいます。それも嫌でしたし、迷惑をかけた大学や久保に対してもけじめを示さなければいけません。
こうして私は、入団以来18年間お世話になった球団を退団したのでした。
原監督から「一緒にやろう」、さらに星野監督からも
退団が決まってからすぐ、大学の先輩でもある巨人の原辰徳監督から「一緒にやろう」というお話をいただきました。久保の件で色々あったことも承知されているようで、「久保は巨人で面倒を見るから心配するな」とも言っていただきました。この言葉には正直安堵しました。
ありがたいことにいくつかの球団からもお話がありました。なかでも印象深いのは阪神の星野監督からのお誘いです。