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「なんでなんだお前!」カズがシュートせずフランス人同僚に“詰められた日”「60歳までやるのは大変だが70、80歳でも…」仏専門誌で告白
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田村修一Shuichi Tamura
photograph byGetty Images
posted2025/06/14 17:05
プロフットボーラーとして現役生活を続ける三浦知良。フランスの専門誌も注目をしている
「自分のなかで1年半前よりももっとやれるという思いがあります。日本とは明らかに違うフィジカルコンタクトの強さ、瞬間のスピードやパワー。そのなかでやってきて、前よりもそういうものに耐えられるのでは、自分もそれを表現できるのではないかなと」
そして見習うべきは、彼らのアグレッシブさであるという。
「ゴールへ向かう意欲って凄いじゃないですか。本当にここから打つのかというところから、どんどんシュートを打ったりとか。横に(フリーで)いてもパスをよこさないで自分で打つとか。そういう意欲が強くて、僕もパスを出さないで自分でシュートを打つこともよくあった。前の自分だったらここはパスだという選択を、自分で強引に持って行くプレーがまた出来るんじゃないかなという気持ちで今はいます」
キックフェイントで190cmの相手を抜けることも
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リスクを冒しても、1対1を仕掛ける。セーフティにパスを選ぶのではなく、自らシュートを打つ。
「(ポルトガル移籍以前の)2年前は、抜こうという自分がいなかった。味方を使って自分が生きようという。年齢のせいにしたり、それが一番いいやり方だと思っていました。
でも向こうに行って、1対1の勝負も結構やっていたんです。走って競争しても勝てないけれども、キックフェイントで190cmもあってスピードもパワーもある相手を抜けることもある。そういう体験をしてきたので、日本でもペナルティエリアのなかで勝負したいなと思っています。『パスで逃げるな』という気持ちは強くなりました。ヨーロッパに行った日本のフォワードはみんな言いますよね。ペナルティエリアのなかで、自分で行かなければ駄目だと。向こうに行くとそれが本当によくわかるんです」
パスに逃げてフランス人同僚に“詰められた”日
だが、カズにはポルトガルに置き忘れてきたものがある。2024年5月19日、レイショエスとの間でおこなわれたリーグ最終戦のホームゲームで、カズは後半14分にピッチに送り込まれた。5分10分ではない。残り時間30分以上を残しての投入は、存分にプレーをして得点を挙げる機会を、監督から与えられたことを意味していた。
絶好の場面が訪れた。交代出場から6分後、味方が奪ったボールはゴール前のカズへ。だが彼は、シュートではなくヘディングでのパスを選択し、自らゴールへ向おうとはしなかったのだった。

