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「ニッポンの野球ファンはショッキングだよ」ドジャース米国記者がいま明かす“初来日の感動”「まず巨人ファンにビビった。でも阪神ファンの衝撃は2倍だった」
text by

田中仰Aogu Tanaka
photograph byAFLO
posted2025/03/22 11:04

ドジャース番記者が感動したという「阪神ファンの応援熱」
マケイン だから初日は眠くて、半分寝ているような感覚だった。そうこうしているうちに試合が始まったら、何やらライトスタンドで旗が揺れている。するとトランペットと太鼓の音色が響いてきて……声を合わせて大声を出しているわけだ。応援席を見に行ったときは「レッツ・ゴー・オカモト」って叫んでいたな。驚いたよ。こんな応援スタイルがあるなんて知らなかったから。
――知らずに行ったらたしかに驚く気がします。
マケイン ソーシャルメディアに思わず投稿したんだ。「日本の野球の応援はすごい」ってね。そうしたら、だ。試合後に投稿を確認するとにわかに信じられないコメントを目撃した。「巨人の応援は静かなほうですよ」と。
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――その翌日ドジャースは阪神と対戦しました。
マケイン そう。これが、凄まじかった。前日のコメントの意味がすぐに理解できたよ。巨人も驚いたけど阪神の衝撃はその倍。何が起きてるんだ? と思って応援席に行ってみたんだ。とにかく、ものすごい声量だった。トランペットや太鼓担当以外の人は、小さいバットみたいなものを持っていたな。中には壊れるんじゃないか、ってくらいバシバシ叩いている人もいた。そこにいたファン全員でチャントを絶叫するわけだ。声も完璧に揃っていた。あの迫力はスゴかった、本当にスゴかったよ。
――阪神ファンの応援に驚くアメリカ人は多いみたいですね。2023年WBCの時も絶句していた記者がいましたから。
マケイン 迫力ももちろんだけど、僕にとって何より面白かったのは応援が加熱していくところなんだ。というのは、ドジャース戦で阪神は終始リードしていたよね? アメリカは逆。たまに“Let’s Go Dodgers”の掛け声が全体に広がることがあるけれど、それはドジャースが負けていたりピンチだったり、劣勢の場面が多いんだ。リードしている場面では「俺たちは勝っているんだから、応援する必要はないぜ」って具合に、ある種冷静に振る舞う。そうやってチームを乗せるのがアメリカ流。ところが阪神ファンは違った。彼らはたとえ勝っていても、流れが相手に向きそうなシーンや、ピンチを切り抜けた瞬間に、ボルテージが高まった。チームを応援する方法として、アメリカと日本の違いを知ることができて興味深かったよ。
――現地ファンの大声援に後押しされるように、試合も3対0で阪神が勝ちました。
マケイン プレゲームとはいえ、ドジャースも欠場したムーキー・ベッツ以外はほぼ主力だったからね。素晴らしいチームだった。阪神が強い理由の一つに、あの応援があることは間違いないね。
