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野球クロスロードBACK NUMBER
「100年に一度の奇跡」の声も…「部員は全員島内出身」「公式戦はフェリーで隣県経由」長崎・壱岐高校“離島からの甲子園”はなぜ達成できた?
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph byJIJI PRESS
posted2025/03/21 17:02

優勝候補の東洋大姫路高校に敗れた21世紀枠の壱岐高校。それでも先制点を奪うなど「離島出身チーム」が聖地を湧かせて見せた
3回まで2-0。試合序盤こそジャイアントキリングの予感を漂わせていた壱岐だったが、中盤以降は東洋大姫路の地力に圧され、最終的に2-7で敗れた。坂本は「攻撃ではチャンスを潰し、守備でも自滅した部分があった」とチームの反省点を挙げながらも前を向いた。
「今日は本当にすごい場所で素晴らしい経験ができました。選手も成長できたと思います」
離島から甲子園。壱岐島にとってそれは、“100年に1度の奇跡”と呼ばれるほどの快挙だった。
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離島=ハンデ。そんな印象を抱かれがちだし、実際に聞かれることも多い。しかし坂本は、きっぱりと否定してみせる。
「言い訳するのが嫌なんです」
長崎県北部の松浦市出身。島原翔南、佐世保南、西彼杵と監督として歩み、2020年から壱岐に就任した坂本が「離島以外は」と少し笑みを浮かべてから、消極的な考えを封じ込める背景を明かす。
「監督として合同チームを経験したこともありましたし、9人だけで戦ったこともあります。そういうなかでも『どうしたら勝てるか?』と考えてやってきましたんで、不利というようなことは思っていません」
ハンデと言われる移動時間は…?
離島の物理的なハンデで最も大きいとされるのが移動手段だ。
野球部も練習試合や公式戦で長崎市内などの県内に遠征する場合には、港からフェリーで佐賀県の唐津経由で行くこととなる。
乗船時間はおよそ100分。それでもこの長距離移動も壱岐野球部にとってハンデとの認識がないのは、その時間をある方法で有効活用しているからである。
<次回へつづく>
