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「100年に一度の奇跡」の声も…「部員は全員島内出身」「公式戦はフェリーで隣県経由」長崎・壱岐高校“離島からの甲子園”はなぜ達成できた?
posted2025/03/21 17:02

優勝候補の東洋大姫路高校に敗れた21世紀枠の壱岐高校。それでも先制点を奪うなど「離島出身チーム」が聖地を湧かせて見せた
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph by
JIJI PRESS
長崎・玄界灘に浮かぶ離島にある県立壱岐高校が初のセンバツ甲子園に臨んだ。優勝候補である兵庫・東洋大姫路に2-7で敗れたものの、初回に2点を先制するなど大舞台を盛り上げて見せた。島の人口はわずか2万4000人。「100年に1度の奇跡」とわかせた甲子園出場は、いかにして成されたのだろうか。《全2回の1回目/つづきを読む》
壱岐を率いる坂本徹が放っていた、穏やかながらも不気味な雰囲気は、その後の機運の芽生えを暗示しているようだった。
「うちは初めての出場で向こうは優勝候補。やりやすいんじゃないかなとは思っています」
21世紀枠での甲子園初出場校が、初戦で西の横綱・東洋大姫路の出鼻をくじく。
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1回。先頭バッターから2者連続フォアボールと不調だった相手エースの阪下漣から、2アウト二、三塁のチャンスを作ると、5番の山口廉斗がカットボールをしぶとくライト前に運び、2点を先取する。
「離島の高校でも点を取れるんだぞ、というところを見せられてよかったです」
アルプスには3000人の大応援団!
ワンヒットで二塁まで進み、ベース上で興奮気味にガッツポーズする山口の姿に、観客で埋め尽くされた一塁側アルプススタンドが沸く。応援団に用意された2800枚の前売り券は完売したといい、甲子園に訪れた壱岐島民は3000人を超えるとも言われている。
優勝候補相手に先手を奪ったことに「ビックリしました」とおどけていた監督の坂本も、アルプススタンドの光景に「島のみなさんから応援をいただいて、選手も力をもらえましたし、緊張よりもワクワクのほうが大きかったと思います」と頭を下げた。