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「鈴木誠也は34本塁打」「今永昇太はサイ・ヤング賞候補」大谷翔平らドジャース勢だけでなく…カブスの2人も狙えるキャリアハイ〈成績予想〉
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2025/03/18 11:03

カブスの主力として欠かせない存在の鈴木誠也と今永昇太。2人の2025年成績予想をすると……。
今永の各種指標におけるナ・リーグ投手の順位。*は左投手。
〈WHIP〉※1イニング当たりの安打、四球での走者数
1.ザック・ウィーラー(フィリーズ)0.955
2.クリス・セール*(ブレーブス)1.013
3.今永昇太*(カブス)1.021
〈BB9〉※9イニング当たりの与四球数
1.マイルズ・マイコラス(カージナルス)1.3
2.今永昇太*(カブス)1.5
3.ジェイムソン・タイヨン(カブス)1.8
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〈K/BB〉※奪三振数÷与四球数
1.今永昇太*(カブス)6.21
2.クリス・セール*(ブレーブス)5.77
3.ソニー・グレイ(カージナルス)5.21
一般的に左投手は右投手よりやや制球が悪いとされる。しかし今永は右投手も含めた全投手の中でも、屈指の投球精度を誇っている。
とくに評価すべきは、K/BBだろう。セイバーメトリクスの考え方では、奪三振は振り逃げ以外では打者を出すことがない「最も安全なリザルト」で、与四球は打者をアウトにできない「最悪のリザルト」だ。K/BB=奪三振数÷与四球数は、投手にとって最も重要な指標だといえる。
ただ、今永にも問題点がないわけではない。
〈HR9〉※9イニング当たりの被本塁打数
1.オースティン・ゴンバー(ロッキーズ)1.6
2.コリン・リー(カブス)1.6
3.今永昇太(カブス)1.4
今永は150km/h超の速球、スライダー、チェンジアップ、カーブを駆使する。速球の回転数はMLBの平均を上回る2400回転(分)を記録。切れのあるボールを投げているが、インコースを強気に攻める投法のため、被本塁打が多くなる傾向にあるのだ。
MLBでは選手のプレーはすべてデータ化され、相手チームにも把握される。今永の配球や球種のデータも相手打者の掌中にある。それゆえ今永もさらなる進化が必要になる。今永は、NPB時代は2018年と20年に左肩を故障しているが、肘を故障したことはない。スリークオーターで、無理のないフォームで投げているからだろう。
17勝を挙げられればサイ・ヤング賞候補にもなるはず
今季の今永はフル回転するのではないかと思う。防御率は若干下がるだろうが、それでもエースの活躍ではないか。以下、昨季の成績と比較しながら成績予想をする。
〈2024年〉
29登板15勝3敗173.1回27被本塁打28与四球174奪三振 防御率2.91
〈2025年〉
31登板17勝7敗192回29被本塁打34与四球197奪三振 防御率3.24
昨年の今永は防御率リーグ3位だったが、25年は5位くらいか。3位だった勝利数も今季は最多勝争いをしそうだ。奪三振は7位程度か。そして新人ながらサイ・ヤング賞投票で5位に入ったが、今季は票が割れれば「ひょっとして」という可能性もあるのではないか。
2025年のメジャーリーグ、二刀流復活となるであろう大谷翔平だけでなく――彼らにもスポットライトが当たってほしいと願う。〈第1回からつづく〉
