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「鈴木誠也は34本塁打」「今永昇太はサイ・ヤング賞候補」大谷翔平らドジャース勢だけでなく…カブスの2人も狙えるキャリアハイ〈成績予想〉 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byNanae Suzuki

posted2025/03/18 11:03

「鈴木誠也は34本塁打」「今永昇太はサイ・ヤング賞候補」大谷翔平らドジャース勢だけでなく…カブスの2人も狙えるキャリアハイ〈成績予想〉<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

カブスの主力として欠かせない存在の鈴木誠也と今永昇太。2人の2025年成績予想をすると……。

「フライボール革命」とは、一定以上の打球速度で特定の角度(バレルゾーン)でボールを打ち上げれば、本塁打や安打になる確率が高まるという理論だが、そのキモは「打球速度」だ。この数値が高くないと、本塁打を打つのは難しい。

本塁打は「30本台」を狙えるのではないか

 多くの日本人選手が小型化したのは、フルスイングよりミートを重視していたからだと考えられる。

 大谷は、MLBに移籍した当初の2018年は183.30km/hで54位だったが、ここから打球速度を上げることに専念し、今ではトップクラスになった。鈴木も1年目こそ179.12km/hで152位だったが、ここから35位、24位と急速に順位を上げ、それに伴い本塁打数も14→20→21と増加している。

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 ただ、打者・大谷の稿でも紹介したが、鈴木のコンタクト率は2023年、36.2%で51位だったのが、24年は33.4%で89位とやや下落している。バットスイングを速くする一方で、確実性をやや犠牲にした傾向がみられる。しかし、今の鈴木が求めているのは打率ではなく本塁打のはず。打球速度を上げるトレーニングをしていることが推測され、今季は190km/hに迫る数値を出すと考えられる。

 また今季の鈴木は右翼ではなく、DHでの起用が想定されている。これは守備に問題があるからではなく、右翼にアストロズから来たカイル・タッカーを起用したいからだ。鈴木はタッカーや他の野手とDHを共有しながら外野も守るだろう。前年より出場試合数は増えると考えられる。

 それを前提に、鈴木の今季成績を予想する。

〈2024年〉
134試合512打数145安打21本塁打73打点16盗塁63四球 打率.283

〈2025年〉
150試合589打数154安打34本塁打100打点10盗塁60四球 打率.261

 といったところか。出場試合数も増えて本塁打は日本人選手3人目の30本の大台に乗せ、打点も3人目の100打点に到達するが、打率は下落すると見た。ナ・リーグDHのシルバースラッガー(打撃のベストナイン)は、大谷の指定席だが、鈴木誠也はリーグ屈指の右打者という評価を得るのではないか。

今永を予想するにおいて注目したい指標とは

 今永昇太については、DeNAのアナリストで、今は二軍投手コーチになっている八木快氏が以前、こう話していたのが印象に残る。

「僕の目線では、今永はセ・リーグのトップのクローザーぐらいの奪三振能力とかファウルを取る能力を持った投手だったんです。そんな投手が先発で投げている。だから要所でしっかり三振が取れたというのが強みでした。また、そういう投球ができるメカニックもちゃんと備えていました。もちろん、彼自身がデータを見て自分の投球を判断できるレベルでもありました」

 その持ち味が十分に活かされたから、1年目からカブス投手陣のリーダーになることができたのだ。

【次ページ】 17勝を挙げられればサイ・ヤング賞候補にもなるはず

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