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永眠した「つば九郎」の“中の人”は紛れもなく存在していた。
posted2025/03/17 09:00
昨年10月2日、青木宣親(中央)の引退試合で石川雅規と共に記念撮影するつば九郎。選手からの信頼も厚かった
text by

鷲田康Yasushi Washida
photograph by
SANKEI SHIMBUN
2月の沖縄にしては冷たい風がグラウンドを吹き抜けていた。
2月20日。ヤクルトがキャンプを張る浦添市の「ANA BALL PARK 浦添」。そのセンターポールのてっぺんで、ヤクルトの球団旗が激しくはためいていた。
マスコット「つば九郎」を支えてきた社員スタッフが亡くなったことが前夜に発表された。それでもスタジアムの球団旗は、哀悼の意を表す半旗ではなかった。
理由は「つば九郎」というマスコットは死んでいないからだった。“中の人”などいない、という論理を球団は頑なに守ろうとしていた。その論理から“中の人”の人となりに触れ、悼む記事を大きく掲載したスポーツ紙には広報からクレームが入った。スタジアム横に設置された「浦添市つば九郎神社」にファンが供えた花や供物も、そそくさと片付けられていった。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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