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「えっ、鉄柱が折れた?」まさかの理由で試合中止…それでも「ファンに大好評」だった新日本プロレスの“神対応”とは?「オーカーンっていい人ね…」
posted2025/03/12 17:30

3月7日、新日本プロレスの後楽園ホール大会は鉄柱が折れるという異例の事態で試合が中止に。写真は折れた鉄柱と社長の棚橋弘至
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原悦生Essei Hara
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Essei Hara
3月7日の18時前、電車に乗って水道橋の後楽園ホールに向かっていると、友人からLINEが届いた。「今日の試合中止」と書いてある。あと30分ほどで始まる試合が開催できないというのだ。
まさかの試合中止…急きょトークイベントを実施
「鉄柱が折れた」
「何、それ」と誰だって思う。まあ、とりあえず行ってみよう。後楽園ホールの下では係員が「試合は中止ですが、トークイベントをやります。チケットは払い戻しますので持っていてください」と並んでいる客に説明している。
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エレベーターで5階に上がると、棚橋弘至社長が入り口でファンを迎え入れていた。まずは、折れたという鉄柱を見に行く。
正面(南側)から見て右手前の鉄柱が傾いているのがわかる。フェンス内に入って間近で見ると「こんなになるんだ」と驚くくらい大きな裂け目が入っていた。
棚橋の説明によると、「試合前のウォームアップ中に大きな音がして」この事態になったという。新日本プロレスとしては、代替のリングを考えたが、ひとつは3月9日の尼崎での興行のための準備で遠い所にあった。道場のリングを使うことも考えられたが、組んであるリングをバラしてから後楽園まで運んできて、また組み立てるには時間が足りなかった。
そういった事情もあり、すぐに「中止」を決めたという。
「試合開催中止」が並んでいたファンに伝えられたのは17時45分頃だった。ホームページにもすぐに掲載された。そして、棚橋と後藤洋央紀らのトークイベントが行われることも伝えられた。
今回のリングは、新日本プロレスの自前のリングではなくレンタルの物だった。黒い鉄柱の物で、これが初めてではなく何度も使っているという。新しいリングはすでに発注済だったが、ハプニングというのはこういうタイミングで起きるのか、とつい思ってしまう。
鉄柱の中は空洞だ。原因は裂け目から見て金属疲労なのだろうが、今後の対策課題のひとつになる事案だ。今までそんなことは聞いたことがないが、万が一に備えるなら鉄柱を5本作って、1本は予備で持ち歩く必要が出てくるのかもしれない。大男が戦うリングだから、消耗し痛む。リングは新しいに越したことはないだろうが、新しいから大丈夫という保証もない。
ビッグバン・ベイダーやクラッシャー・バンバン・ビガロ、スコット・ノートンらがいたころはコーナーへの体当たりでリングそのものが20センチ近くずれたこともある。リングサイドで撮影しているとずれた衝撃がもろに伝わってきた。リングのキャンバスの下には板が敷いてあり、それがショルダースルーなどの落下の衝撃で割れたり、出っ張って盛り上がってしまうことは珍しくない。