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「あのラウンドを取っていたら…」堤聖也と比嘉大吾の“激闘”を長谷川穂積はどう見たのか?「辞める人間の表情じゃない」比嘉に伝えた“ある言葉”

posted2025/02/28 17:45

 
「あのラウンドを取っていたら…」堤聖也と比嘉大吾の“激闘”を長谷川穂積はどう見たのか?「辞める人間の表情じゃない」比嘉に伝えた“ある言葉”<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

お互いにダウンを奪い合う激闘を繰り広げた堤聖也と比嘉大吾。長谷川穂積さんはこの一戦をどう見たのか

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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Takuya Sugiyama

 東京・有明アリーナで2月24日に行われた「Prime Video Boxing 11」が大いに盛り上がった。メインイベントではWBCバンタム級王者の中谷潤人(M.T)が無敗挑戦者のダビド・クエジャル(メキシコ)に3回KO勝ちし、セミではボクシング6戦目の那須川天心(帝拳)が前WBOバンタム級王者ジェーソン・モロニー(オーストラリア)に判定勝ちを収めた。WBAバンタム級王者、堤聖也(角海老宝石)と比嘉大吾(志成)の激闘を含め、元3階級制覇王者の長谷川穂積さんに独自の視点から分析してもらった。(全3回の1回目/中編後編へ)

「比嘉陣営はジャブを相当練習してきた」

 WBAバンタム級王者の堤と元WBCフライ級王者、比嘉の一戦は「どちらが勝つのか分からない」という観点から、関心の高い一戦だった。堤は昨年10月、不利予想を覆して井上拓真(大橋)から王座を奪取。本人曰く「サイクロンのような」という手数の多さと、食らいついたら絶対に離さない執念のスタイルは「だれと手を合わせても好勝負」という印象を我々に与えていた。

 一方、フライ級時代に15連続KO勝利の日本タイ記録をマークした比嘉は昨年9月、6年ぶりの世界タイトル戦でWBOバンタム級王者の武居由樹(大橋)に惜敗。直後に引退を表明しながら再びグローブを握る決意をして今回の試合に臨んだ。心と体をどこまで仕上げているのか。勝敗の行方は「比嘉次第」という声も戦前は聞かれた。

 両者は高校時代から友人関係という同級生対決でもあり、2020年10月のノンタイトル戦はドローに終わっていることから、決着をつけるリマッチでもあった。

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 前半戦、試合を有利に進めたのは比嘉だった。長谷川さんは両者の動きを次のように見ていた。

「入場してきた表情を見る限り、比嘉選手のほうがいい表情をしていました。実際に入りは比嘉選手のほうが良かったです。何よりも効いていたのはジャブ。比嘉陣営はジャブを相当練習してきたと感じました。頭の位置をうまく動かし、ジャブを的確に当てて堤選手にペースを渡さない。堤選手は一発いいのを当ててからロープまで歩きながら詰めて手数で勝負するというスタイルです。その一発がなかなか当てられなかったですね」

【次ページ】 劇的なダウンの応酬「比嘉選手はいきすぎました」

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