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「スターダムは人気レスラーを失うことに」中野たむが上谷沙弥に突きつけた“敗者退団マッチ”…まさかの急展開はなぜ起きた?「お互い全部かけようや」
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/02/27 17:02
上谷沙弥と中野たむ。3月3日に後楽園ホールで「敗者退団マッチ」を戦うことになった
「上谷、これが、私たちがお互い思い合う愛の力だ。アンタもさ、アンタなりにプロレスを愛してるんだよね。それはよくわかった。でも、私はいままでアンタにされてきたことを全部忘れてない。アンタは愛を履き違えてる。なんでも言うこと聞くって言ったよね。次で最後にしよう。アンタ自身をかけて戦え。退団マッチだ。なんでも願いをかなえるってアンタが言ったんだ。吐いた唾、飲み込むのか」
上谷が応えた。
「オマエが負けたらオマエが退団するってことだよな」
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「もちろん、私も、私自身をかけて戦う」
中野は玖麗を抱き寄せた。
「決まったね。負けた方がスターダムを退団。オマエ、自分で言った言葉、後悔しないようにな」上谷はまさかの展開にちょっと戸惑いもあったようだが、こう言い捨てた。
「本当に最後だ。お互い全部かけようや」
何をそんなに急いでいるのかというくらいの展開で、「退団マッチ」は3月3日に後楽園ホールで行われることになった。
「信じてた。私たちなら、愛の力があれば、この世界を変えていけると本気で思っている。ずっと一緒にいてほしい。玖麗に手出しさせないから、上谷なんかに。絶対に守るから。だからたむは自分自身をかけて戦う。上谷、次で本当に最後だよ。アンタ自身と私自身。愛を持っているってことは十分わかったけれど、アンタは愛を履き違えている。そんなやり方でスターダムを守ってなんかいけない。3.3、後楽園で本当に最後だ。お互いそこで全部かけようや」(中野)
玖麗は「上谷さん、私、あなたのやり方が大っ嫌いです」と言った。
「だから、いまの上谷さんにはついていきたいと思わないし、ついていかない。私は、対角であなたのことを絶対に倒します。私の居場所はコズエンだって改めて思ったんです。たむさん、どこにも行かないでください」
だが、玖麗の心はまだ揺れ動いているように感じられた。



