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「スターダムは人気レスラーを失うことに」中野たむが上谷沙弥に突きつけた“敗者退団マッチ”…まさかの急展開はなぜ起きた?「お互い全部かけようや」
posted2025/02/27 17:02

上谷沙弥と中野たむ。3月3日に後楽園ホールで「敗者退団マッチ」を戦うことになった
text by

原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
中野たむか、上谷沙弥か。負けた方がスターダムを去るという「敗者退団マッチ」が、3月3日に後楽園ホールで行われることになった。玖麗さやかという一人の選手をめぐって繰り広げられた二人の争奪戦は意外な展開を見せた。
中野たむの口から出た「予期しない言葉」
2月24日、宇都宮大会で行われたタッグマッチは中野、玖麗vs.上谷、刀羅ナツコで、誰が見ても中野組の劣勢は否めなかった。状況は中野と上谷の遺恨に、玖麗が特別なかかわり方をしている奇妙な構図だ。
いきなり場外で翻弄されて、玖麗としてはかなり奮闘したが、ミサイルキックの誤爆があり、リングに座り込んで呆然と試合を見つめていた。
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上谷は中野を引き起こし、玖麗に「来い」と促す。中野へのスピアタックルを強要している。「どうするんだ」と、玖麗を見る刀羅。
「ごめんなさい」
そんな言葉をつぶやいて玖麗は走った。その先は中野か、と思ったが、玖麗は上谷にスピアを突き刺した。
これが試合の明暗を分けた。上谷はその後、玖麗のスピアと中野のネックブリーカーという合体技を食らい、中野のバイオレットスクリュードライバーで3カウントを奪われてしまった。「まさか」といった表情を浮かべる上谷。
中野は勝者として「必ず聞き入れてもらう」と言っていた要求を上谷に突き付けた。それが4月27日、横浜アリーナでの赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)への挑戦であるという予想は、裏切られた。
「タイダン・マッチ」(中野)
耳慣れないフレーズに筆者は、「退団」という言葉がすぐには思い浮かばなかった。それくらい唐突で、予期しない中野の言葉だった。