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三笘薫スーパーゴールに現地英国で「年間最優秀ゴールだ」の声も…番記者が証言「2年前と“胸の筋肉”が全然違う」三笘本人は「1回だけだと忘れられてしまう」
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田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2025/02/25 17:56

22日の敵地サウサンプトン戦、今季プレミアリーグ7点目を決めた三笘薫(27歳)
昨年12月にサウサンプトンの新指揮官に就任したイヴァン・ユリッチ監督が実践しているのは「マンツーマン・ディフェンス」。相手選手が自陣に入ると、サウサンプトンの選手たちはマンツーマンでマークを行なう。しかし、この守備の完成度があまりに低い。ボールホルダー付近で、ブライトンの選手が2~3人目の動きをすると、まったくついていけないのだ。ブライトンは、この悪癖を事前に掴んでいた。三笘が「狙い通りでした」と語るように、ペドロがポストプレーをしたタイミングで、”2人目”の動きで飛び出した三笘はフリーに。決定機を生み出した。
2年前に三笘が語った「1回だけだと忘れられてしまう」
2つ目は、「相手マーカーのブロック」だ。
三笘が前線に飛び出した瞬間、後ろから追いかけてきたマーカーに肩とシャツを2度掴まれた。しかし三笘は強引に振り払い、相手をスピードで引き離した。「飛び出したところで、相手に掴まれていたが……」と聞いてみると、三笘はこう答えた。
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「そうですね。ファウルもありそうでしたけど、GKと1対1の状況が見えていたので、ここは『行かなければ』と。あれぐらいなら、引っ張られても大丈夫です。
スプリント自体は良くなっていると思う。フィジカル的なところはまだまだ上がると思うんで、そこがもっと高まってくればああいうシーンも増えてくると思います」
三笘の言葉を聞いて、思い出したゴールがあった。
それは、昨シーズンのプレミアリーグ2節ウォルバーハンプトン戦だ(23年8月19日)。この試合で、三笘は衝撃的なゴールを叩き込んだ。左サイドでボールを受けると、マーカーのポルトガル代表DFネルソン・セメドに肩を掴まれた。しかし三笘はモノともせず、ペナルティエリアまで突っ走って、最後は滑り込みながらゴールにねじ込んだ。
当時、三笘はこう話していた。
「体作りはしてますし、あそこで負けないようにしたいと感じていた。これまで以上に出力やトップスピードを求めている。そういうところがもっとついてくれば、もっともっと良いゴールを決められる。
同じプレーを、あと何試合できるか。1回だけだと忘れられてしまう。それを何回もすることで、良いプレーヤーになれるかなと思います」
プレミアの月間最優秀ゴール賞を獲得し、年間最優秀ゴール候補にもノミネートされたあのゴールから、約1年半の時間が経過した。
サウサンプトン戦のゴールには、三笘の進化の跡が見えた。マーカーに引っ張られても振り払い、追走した2人をスピードでさらに引き離した。今季の三笘は、胸から上腕あたりの筋肉の厚みが増しているが、その効果がハッキリ形になったと言えよう。「そういうところがもっとついてくれば、もっともっといいゴールを決められる」という1年半前の約束どおりのゴールだった。
「心の余裕が少しあった」
最後のポイントは、冷静なフィニッシュだ。