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「え、朗希が飲んだ!」佐々木朗希が見せたドジャース入団前の“覚悟”ロッテ・高部瑛斗が語る「送別会秘話」プレゼントに込めた意味は…
text by

梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byJIJI PRESS
posted2025/02/17 11:03
生還した高部瑛斗(右)を迎える佐々木朗希
全員で明るく乾杯した。その直後、メンバーは目を疑った。シャンパンには口をつけないであろうと思っていた佐々木朗希が、グラス1杯だけではあったがグイッと飲み干したのだった。
水以外は飲まない朗希が…
「驚きました。え、朗希が飲んだと思って。本当にアイツの中で覚悟を持って行くんだなって。その瞬間、なぜかそう感じて思わず感動してしまいました」
普段はほぼ、水以外は飲まない。それが佐々木朗希流の体調管理法で、一度、決めたルールを簡単には変えることはない。そんな日々の生活から完璧を追求している男が、同期たちが久々に集まった祝宴の場とはいえ、アルコールを1杯、口にした。その光景は仲のいい同期の面々からしても初めて目にしたものだった。それは感動にも似た驚きで、高部の心の奥底には、忘れられない時間として焼き付いた。
同期が知る朗希の素顔
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全員が初めて顔を合わせたのは2019年12月、都内で行われた新入団会見の時だ。佐々木朗希の第一印象を高部は「普通の高校生だなと思った」と言う。
「メディアのイメージがあったので、特別なオーラというか、孤高な感じなのかなと思ったけど、実際に見た彼からそれを感じたことはなかった。あれだけ騒がれて入ってきて、彼自体は本当に普通の高校生だった。注目されて勝手に世間の中に朗希像が出来てしまっていたのだろうな、と思った。その後、一緒に過ごすようになって、どんどん身近な存在となった。ボクらの中では朗希は朗希。普通の人。野球は凄いですけど可愛い後輩。ちょっとシャイないい子だった」
「高部さんの打撃はすごいなあ」
練習のシート打撃で何度か対戦したこともある。「球筋が違う。普通の人とは」と驚嘆した。外野の守備位置から守っていても「そりゃあ、打てないよなと思うことがあった」と共に戦った時間を誇りとした。
佐々木朗希も4歳上の高部を慕っているようだった。その広角に打ち分ける鋭い天才的な打撃に対して、「高部さんの打撃はすごいなあ」といつも憧れの眼差しで見ていた。「そこは嬉しかった」。高部は照れながらも嬉しそうに懐かしむ。


