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ボクシングPRESSBACK NUMBER
キム・イェジュンの“挑発ジェスチャー”「勝つにはあれをするしかなかった」それでも直後にKO、井上尚弥の凄みを“怪物と最も拳を交えた男”が解説
text by
森合正範Masanori Moriai
photograph byTakuya Sugiyama
posted2025/01/28 11:01
「来い来い」というジェスチャーをするキム・イェジュンを攻め込む井上尚弥
フェザーでの闘いも「問題ないと思います」
八重樫はWBC世界フライ級王座4度目の防衛戦としてローマン・ゴンサレスと闘い(9回TKO負け)、約3カ月後に1階級下げてWBC世界ライトフライ級王座決定戦に挑んだ。
――井上選手は常々「スーパーバンタム級が適正階級」と言っています。スーパーバンタムに戻すということはやはり一番動ける階級ということですね。
「やっていて、スーパーバンタムがベストなんでしょうね。当日の体重(62.9キロ)は今回が一番重かったんですよね。でも体の動き自体はすごくよかったし、切れもあってスピードもあった。体的な上積みというのはしっかり感じられました。なので、フェザーに上げるときにどんな上積みをするのか。筋肉を上乗せするのか。それともリミット(57.1キロ)まで上げず、一番動けそうな体重でリングに上がるのか。それがスーパーバンタムに戻したときのカギになるような気がします」
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――フェザーでの闘いはどうなるでしょうか。
「問題ないと思います。スーパーバンタムで体負け、パワー負けしているシーンがまったくない。むしろ相手より大きく見えるし、相手より体の力もあるように見えるので」
次戦の相手は「ネリを右にしたような感じになるのでは」
対戦候補のWBA世界フェザー級王者のニック・ボールは身長157センチと小柄ながら好戦的な闘いで、22戦21勝12KO無敗1分けの戦績を誇る。
――ニック・ボールは身長が低く、体ががっしりしたパワフルなタイプです。
「前にガンガン出てくるから井上選手が得意そう。それこそネリを右にしたような感じのゲームメイクになるのでは。あくまで僕が見た感じではやりやすいと思います」
――出てくるタイプは得意ですよね。
「前に出てくる選手に対してのパンチの合わせ方がすごくいい。強いジャブと強いボディブローがあるので、相手を止められる。自分の一番いい距離で止められる。これまでは相手を釘付けにする前に倒れてしまうこともあった。ボール戦はその先も見られるかもしれません。あとはヒットアンドアウエーです。キャリア初期のスパーリングではそういう闘いが多かったので、自分より重い相手に対して、ヒットアンドアウエーは慣れ親しんでいる。そういう闘い方も大いにあるんじゃないでしょうか」
――足を使う闘いですか?
「先にパンチを当てて、ボールが入ってこようとしたところに、パッとステップして回り込むとか、攻めるアウトボクシングっていうんですかね。自分が打って動いて、打って動いて、という展開もあると思います。ボールに勝つことだけに集中した闘い方が見られるのではないでしょうか。ライトフライ級(48.9キロ)からフェザー級(57.1キロ)だから、デビューから8キロ以上上げることになります。僕自身、そういう前人未踏な選手とキャリアが重なっていたというのは、すごく幸せなことだなと噛みしめています」≪インタビュー第1回も公開中です≫