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井上尚弥戦で「臆病だと思われたくない」発言→井上がノーガードでも消極的…“対戦相手が逃げてしまう”恐ろしさ「条件が高額なのに対戦拒否も」
posted2025/01/27 17:30
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Takuya Sugiyama
条件は高額なのに対戦拒否→英国で防衛戦
<名言1>
井上へのリスペクトがあったから、それを乗り越えることができた。
(エディ・ハーン/NumberWeb 2018年5月28日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/830896
◇解説◇
キム・イェジュン戦で4回TKO勝ちを収めた井上尚弥は、世界戦連続勝利数を歴代5位タイの24に伸ばすなど、ボクシング史に残る地位へと上り詰めた。一方で、あまりのパンチの破壊力によって一時期起きたのが「対戦相手が決まらない」というまさかの事態だった。
2017年、当時のスーパーフライ級の王者だった井上は、年末の目標に統一戦を掲げ、他団体の王者であるジェルウィン・アンカハスと交渉に臨んだが、アンカハス陣営は対戦を拒否。さらにアンカハスは11月に英国で防衛戦を行なったわけだが――関係者によると英国遠征よりも、井上が所属する大橋ジムサイドが提示した条件の方が高額だったとの話だった。
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そんな“相手が逃げてしまった”一件後、井上は2018年からバンタム級に階級変更。その初戦となった5月のWBA世界バンタム級タイトルマッチの相手は英国人のジェイミー・マクドネルだった。175.5センチ、当日の体重は前日計量から12キロ増の65.3キロとバンタム級の中では大柄に入るボクサーだったが、井上は「ジャブを肌で感じて大したことはない」と即座に見切り、わずか1回1分52秒でTKO勝ちに追い込んだ。
マクドネル陣営のプロモーター、エディ・ハーンは「99%のボクサーが、昨日のジェイミーほどの減量を乗り越えることはできないだろう」とリングに上がったことを評価してほしいと語った。この言葉は、現実的に井上との立ち位置の差を認識していたことを示していると言える。
粘りに粘るスタイルで挑んだタパレス
<名言2>
井上のスピードが速く、追いつけなかった。
(マーロン・タパレス/NumberWeb 2023年12月27日配信)https://number.bunshun.jp/articles/-/860167
◇解説◇
スーパーフライ級とバンダム級世界王者獲得、そしてワールドボクシングスーパーシリーズ(WBSS)準決勝付近まで、井上は衝撃の早期KO劇を積み重ねていったが、2020年代に入ってから試合が7ラウンド以降まで続くケースが増えてきている。これは井上がじっくりと相手を見て試合を進めているのと同時に、相手がさらに守備重視になっている側面も否めないだろう。