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井上尚弥戦で「臆病だと思われたくない」発言→井上がノーガードでも消極的…“対戦相手が逃げてしまう”恐ろしさ「条件が高額なのに対戦拒否も」 

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2025/01/27 17:30

井上尚弥戦で「臆病だと思われたくない」発言→井上がノーガードでも消極的…“対戦相手が逃げてしまう”恐ろしさ「条件が高額なのに対戦拒否も」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

圧倒的な強さを見せ続ける王者・井上尚弥。あまりの強さに“消極的”な選択をするボクサーもいた

「ディフェンス面が思ったよりすごくて、意外と当てられなかった」

 このように井上が語ったのは、2023年の年末に開催されたスーパーバンタム級4団体王座統一戦である。当時WBC・WBO王者だった井上がWBA・IBF王者のタパレスを下して、バンタム級に続いて史上2人目となる2階級統一王者になった。ただこの一戦、決着がついたのは10回1分2秒。サウスポーのタパレスはガードをしっかりと固めつつ、井上のハードパンチの圧力を下がらず受け止めて打ち返すという、粘りのスタイルを貫いてきたのだ。

 この戦略で、7回にはタパレスのジャブが井上の顔にヒットするなど、ジャッジ2人からの支持を集める健闘を見せた。ただ井上自身が「判定も頭をよぎった」と語る中で、タパレスはその高速ボクシングに必死についていく状態だったのも確かだった。果たして10回、井上が打ち込んだワンツーに、タパレスが立ち上がることはなかった。

「臆病と思われたくなかった」バトラーだが

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<名言3> 
臆病だと思われたくなかった。
(ポール・バトラー/NumberWeb 2022年12月14日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/855795

◇解説◇
 タパレスはタフに粘るという健闘ぶりだったが——それ以上に井上が手を焼いたのは1年前にバンタム級で4団体王座統一を成し遂げた歴史的一戦だろう。対戦相手ポール・バトラーの戦法によってKO劇のエンディングは終盤にまでもつれこんだ。

「あまりにも手を出さないのはどうなのかなという思いはありました」

 井上が試合後、このように語ったように、この日のバトラーはテクニックは感じさせながらも——前に出て戦うスタイルではなかった。この一戦をNumberWeb上で解説した田口良一氏も「何故、こんな戦い方なんだろう」と評したほどで、実際に手を出さず仕掛けてこないバトラーに対して、井上がノーガードでパンチを誘い、そこから攻撃を仕掛けるシーンもあったほどだ。試合後、バトラーはこのように話している。

「守りを固めるのではなく、積極的に攻めようと思っていた」

 しかし陣営のトレーナーが「試合前に1ラウンドで終わると言っていた人もいたが、結果的に11ラウンドまで戦えた」と口にしていたのが、本当のところだったのかもしれない。

キム・イェジュンは「初回から来てほしい」

 転じて今回、井上に挑んだキム・イェジュンは「最初から、1ラウンドから来てほしい」と語っていたという。実力差は認識すれど“逃げる”選択肢を取らなかった32歳は、称えられるべきグッドルーザーだった。〈井上尚弥特集:つづく〉

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