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「フェザー級で戦える体はできている」井上尚弥が圧勝後に明かした“驚きの構想”…「じつは過去最重量だった」異例のキム・イェジュン戦“本当の意味”
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2025/01/25 18:15
井上尚弥の右ストレートがキム・イェジュンの顔面を打ち抜いた瞬間。4ラウンド2分25秒、文句なしの圧勝だった
「今日どうなるか不安の中リングに上がりました。でも、リング上から見渡した景色は、対戦相手の変更、日程の変更がある中、多くのファンが足を運んでくれていて、自分はすごくうれしかった」
安堵の表情は柔らかく、その言葉は暖かかった。
「フェザー級で戦える体はできている」
試合後、トップランク社CEOのボブ・アラム氏がリング上で盛んにアピールしたように、次戦はラスベガスで防衛戦が計画されている。さらに25日の記者会見で大橋会長が今後のプランを具体的に明かした。
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いずれも「まだ決定ではない」と注釈付きながら、ラスベガスでの防衛戦はWBC1位のアラン・ピカソ(メキシコ)が最有力。その次は元王者で現在はWBA暫定王者に認定されるムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)。さらにはサウジアラビアでWBAフェザー級王者のニック・ボール(英)に挑戦する話が出ているという。アフマダリエフ戦は国内開催が期待される。
このプランが年内に実現すれば年間4試合というから驚きだが、いったんフェザー級で試合をしたあとはスーパーバンタム級に戻し、来年は「戦うべき相手がいる」(大橋会長)という中谷潤人(M.T)戦を視野に入れるというからすごい。この日、井上は「フェザー級で戦える体はできている」と涼しい顔で言ってのけた。
大会場のラスベガスに未知の中東、さらにはフェザー級と、2025年は井上にとって初めての舞台が続く。そう考えると、今回の防衛戦は「初ものづくし」が続く1年の幕開けにふさわしかったと言えるのかもしれない。