ブーイングも喝采もなく…海野翔太に“欠けているもの”とは何か？「父が息子のIWGP戦のレフェリー…いかがなものか」新日本プロレスに抱いた疑問 

「感情移入できない」海野翔太へのリアルな反応

「やっぱり、感情移入ができない」

　試合を見た人たちと話したが、そんな声を多く聞いた。翌5日も東京ドームで試合は行われた。海野は5試合目だった。

　今度はどこからどうやって入場するのかと少し気になったが、また同じオートバイでの入場で、手作りの紙のベルトを手にしていた。子どものファンからもらったもので昨年から大事そうに抱えていたが、入場の花道で背後からAEWのクラウディオ・カスタニョーリに襲われて、それを客席に投げ捨てられた。海野がそんな刺客にデスライダーで勝利しても、なんだか消化不良だった。

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「BATTLEには勝てなかったが、WARには負けなかった。自分のミッションは、翔太にレッスンを受けさせることだった。今日、オレは結果では負けたけれども、短い間で彼は何かを掴み取って学んだことだろう。だから、彼に対して、何も悪く言うつもりはない。ジョン・モクスリーは彼をずいぶん買っているようだが、まだまだやるべきことがあるな」

　結局、海野はあくまでレッスン中という扱いだ。

「オレは、腐っても師匠はモクスリーだ。ヤングライオンの何も色のない小僧を、今の海野翔太を、築き上げてくれた大切なパートナーだ。血は争えない。何があってもその血縁は消えないと思う。ただ、オレ1人のチカラで、あなたたち全員を真っ向勝負で倒していかないといけない。モクスリーの技のパクリだとか、ラフファイトだとか、見てるところがちっちぇえんだよ。オレのデスライダーは唯一無二だ。モクスリーのパクリだなんだ、言わせねえぞ。この技でモクスリーから勝ってやるよ。自分の強さを証明するために」

　6日には大田区総合体育館で、海野の紙のベルトをグレート-O-カーンが「まだこんなゴミ持ってたのかよ。邪魔なだけだ」と破り捨ててしまった。

「何したかわかってんのか、この野郎。子どもがどんな思いで作ったと思ってんだ。オマエからしたら、オモチャのベルトかもしれない。作った本人はどうで、もらった方はどうで、その大切さ、気持ち、時間、共有できるか？　ふざけんなよ。やっていいことと悪いことがあるだろ。それで何がレスラーだよ。それで子どもたちに、プロレスを応援してくれる人たちに、夢や希望を与えられるのか。オマエの価値観だけで、オマエの気持ちだけで、人の思いを踏みにじって、それでレスラーって言えんのか」

　海野はそう叫んだが、その言葉はむなしく聞こえた。本当に悔しいのであれば、誰にも文句を言わせないように、リングで勝って示すしかない。

＜「新日本プロレスの救世主」編に続く＞

#2に続く

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