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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
ブーイングも喝采もなく…海野翔太に“欠けているもの”とは何か?「父が息子のIWGP戦のレフェリー…いかがなものか」新日本プロレスに抱いた疑問
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/01/11 17:35
IWGP世界ヘビー級選手権試合でザック・セイバーJr.に敗れた海野翔太(27歳)。1月4日、東京ドーム
「翔太まだまだ、エースではないけれど、ここまでおいで。彼自身も自分が今日、ボクの相手になるだけの男であるということを証明したと思う。ただ、彼が今チャンピオンじゃないのは、ボクがチャンピオンだからだ。まだ彼の時間は来ていない。もちろん、将来的にトップに立つ男かもしれないけれども、今はザックの時間なんだ。これから他の若い選手たち、三銃士以外にも若いレスラーがボクを追ってくると思う。それをボクはとても楽しみにしている、そして待っていたいと思う」
ザックはこんなやさしいコメントを残したが、「(海野の)IWGPは遠い」という印象は免れなかった。
強気だった海野翔太「必ず逆転満塁ホームランを…」
「悔しいな。イスにも座る資格がないから、ドン底から喋らせてもらう。2年前の1月4日、東京ドームで武藤さんに言われたんだ。『経験をしろ。たくさん失敗をしろ』と。『そのカサが大きくなれば大きくなるほど、自分のためになる。だから失敗しろ』って、『たくさん経験しろ』って。振り返ってみろ。前例があったか? 実績も、結果も、戴冠歴も何も残してないヤツが、1.4のメインに立ったことがあったか? ブーイングが起こるなんて当たり前だよ」
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海野は思いの丈を吐き出した。
「悔し過ぎんだよ。でもオレには夢がある。胸を張って、東京ドームを超満員札止めにするって誓った。今までそう言ってきたレスラーはたくさんいたと思う。『オマエも一緒か』って、『入るわけねえよ』って笑われるだけかもしんない。でもオレは絶対にその夢を諦めない。自分を信じるし、プロレスの力を信じている。AEWだとか、東京ドームを満員にできなかったオカダとかオスプレイとか、ふざけんな。そんな名前忘れてくれ。オレらが新日本プロレスの新時代(を築く)。新世代が、必ず東京ドームを超満員にしてやる。今はドン底かもしんない。オレの手元にはベルトがない。またゼロからのスタートかもしれない。でも、必ず逆転満塁ホームランを打って、超満員にしてやる。絶対だ。絶対にだ」
海野は強気だった。強気で前向きなのはいいことだが、では何がダメなのか。