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ザックが次に目論む新たな策とは?
4-2-3-1以外の可能性を探る。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/02/08 10:30
優勝後、トロフィーを掲げる監督とキャプテン。アジアカップの練習では、長谷部と遠藤へは特に多く声をかけ、相談していたというザッケローニ監督
成長しながら勝つ――。
若いメンバーを率いてアジアカップを制したザッケローニはチームに「経験」を積ませるとともに、優勝という「実績」を得ることにも成功した。大会前、選手たちの“不ぞろいのコンディション”を嘆いていただけに、この大会でここまでの成果を得られるとは正直、思っていなかったはずである。
決勝翌日。
ドーハ市内のホテルでザッケローニを取材できる場が設けられ、今後のチームづくりに向けた指揮官の発言もあった。興味深かったのは4-2-3-1システムの継続について、このように言及したことだ。
「日本の選手はユーティリティープレーヤーが多い。技術が高いので複数のポジションをこなすことができる。たとえば伊野波は本来センターバックだがサイドバックもできるし、今野だってそうだ。長友は前でもやれるし、岡崎もいろんなポジションをこなせる。ユーティリティーが多いということは、いろいろなシステムも使えるということ。ただ、我々にとって変わらないのは、勝つために試合をすることだけだ」
4-2-3-1を継続するのであれば、もう少し強い形で言い切ってもよかった。しかしどちらかと言うならば、システムの変更に含みを持たせた発言と受け取ることもできた。
「私はシステムをコロコロと変えることがあまり好きではない」
このアジアカップにおいて指揮官はオプションとしてトリプルボランチ、3バック(厳密にはサイドバックも下げた5バック)を用いたものの、スタートから4-2-3-1を崩すことはなかった。サウジアラビア戦前日にはシステムについて、持論をこう展開している。
「私はシステムをコロコロと変えることがあまり好きではない。というのも、今はチームのベースを構築する作業の真っ最中であるし、まずは見極めることが大切であるからだ」
つまり、今の日本に合っているか、己の目指す戦い方にこのシステムが最もマッチしているか、適性を見極める意味もあって4-2-3-1にこだわってきたというわけだ。もちろん、結果を残したことで4-2-3-1に手ごたえを得たことは間違いないだろう。
だが、このシステムに問題がなかったわけではない。