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「ハワイで水着になりたくて…」体重90キロ看護師がダイエット目的で始めたボクシングで人生激変…アマ日本代表→30歳でプロボクサー転身 

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杉園昌之

杉園昌之Masayuki Sugizono

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photograph byWataru Sato

posted2024/12/30 11:04

「ハワイで水着になりたくて…」体重90キロ看護師がダイエット目的で始めたボクシングで人生激変…アマ日本代表→30歳でプロボクサー転身<Number Web> photograph by Wataru Sato

先日、女子スーパーライト級(63.5kg以下)でプロデビューを飾った津端ありさ(31歳)。ダイエット目的で始めたボクシングにのめり込んだ

 壁にぶつかりつつ迎えた2023年11月の全日本選手権女子ウェルター級(66kg以下)決勝。パリ五輪予選日本代表の座を懸けた大一番である。墨田区総合体育館のリングで最終3ラウンドまで一歩も引かずに激しく打ち合ったものの、津端の手が上がることはなかった。東京大会に続き、五輪出場の夢が途絶え、さすがに意欲とともに自信も低下した。

「正直、引退を考えました。選手はもういいかなって。やり切ったというよりも、勝てなかったので」

 一度グローブを吊るし、ボクシングから心も離れた。体重管理を気にせず、ポップコーンを食べながら好きなマーベル作品を鑑賞し、またある日は温泉に浸かってのんびり過ごした。自由気ままに生活していたが、これからの人生も考えた。

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「何をしようかなって。自分自身、やりたいことがあやふやで。転職情報をチェックし、常勤の看護師として勤め直すことも考えましたし、パーソナルトレーナーの誘いもありました。でも、どれもしっくりこなくて」

 新しい人生の方向が定まらず、将来について考えを巡らせているときだった。地元狭山市のボクシング関係者から思わぬ言葉を掛けられた。

「プロでやってみないか?」

 津端の頭にはなかった選択肢だった。不思議なものである。2カ月間、ボクシングの練習を休んでいると、心の奥にしまい込んだグローブが恋しくなっていた。

「またやりたいな、と思いました。ボクシングで何かをやり遂げたいって」

 節目の30歳。津端は再び拳で大きな夢を追い始めることになる――。

〈つづき→第2回を読む〉

#2に続く
「日本では稼げない、相手もいない」看護師ボクサー30歳でプロ転向の舞台裏…古びたジムで“昭和の名ボクサー”と目指す10億円のファイトマネー

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