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山田勝己は「今でも荷重を背負って山道に…」“黒虎のエース”山本良幸(32歳)が語るミスターSASUKEとの出会い 最初の言葉は「強いな!でも…」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byTBS
posted2024/12/25 11:03
現在“ミスターSASUKE”こと山田勝己が率いる「黒虎」のエースとなった山本良幸。団長との最初の出会いは意外なものだったという
山本は山田の下に毎週通った。黒虎はSASUKEに人生をかけた男たちの集団だ。真剣さ、思いの深さを示さなければいけない。本戦出場への道がまるで開けない状況にあって、まずは山田に認めてもらえなければ始まらないのだ。
しばらく通っても山田の言うことは変わらなかった。
「おお、頑張ってんなあ! 来年ぐらいに入団できたらええなあ。2年後、3年後になるかもわからんけど」
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ただ、初対面から3カ月経つと、今度はこう言われた。
「選考会があるから顔出しいや。まあ出られへんけどな」
昔気質な山田なりの精一杯のラブコールだったのだろうか。いずれにしろ山本はこのチャンスを掴んだ。予選会で驚異的なパフォーマンスを見せ、伊佐とともに黒虎メンバー代表に選ばれた。27歳にして、ついにSASUKE初出場が決まった。本戦でも山本は初出場とは思えないパフォーマンスを発揮し、サードステージまで進出する活躍を見せた。
団長の山田からも「お前に懸けてよかった」
2022年には黒虎初の快挙となるファイナルステージ進出。この時、サードステージクリアを見届けた団長の山田は感極まった。山本に歩み寄って「ありがとう」と肩を抱き寄せた。
「団長、泣くのはまだ早いです」
「そら、嬉しいよ。嬉しいに決まっとうやん」
「お前に懸けてよかった」と男泣きする山田を見て「団長がいなかったらここまで頑張れなかったですし、ここまで強くなれたのは団長のおかげなんで」と山本も感謝した。
山田から「ミスター黒虎」とまで呼んでもらえるようになった山本だが、ミスターSASUKEの存在には、いまも「なぜSASUKEをやるのか」という原点を思い出させてもらっている。
「山田さんはね。ほんまに飾らない。テレビのままと言ったらいいのかな。こどもがそのままに大人になったような、すごいピュアなところがあるんです」
黒虎の定番練習メニューに坂道ダッシュがある。
黒虎の予選会でも坂道ダッシュは恒例種目。このメニューによってメンバーの体力が培われてきたのは間違いない。ただ、近年のSASUKEはもう少し専門的な技術が求められるパートもある。38回大会からは山田が現役に復帰したことで、山本はファーストステージの攻略法について団長に時おりアドバイスしているという。